「東京の島」(はてな年間100冊読書クラブ 126/100)

東京の島 (光文社新書)

東京の島 (光文社新書)

 

  • 一般的にはマイナーな、「東京の島」

伊豆・小笠原諸島など、「東京の島」に焦点をあてた
旅行記になりますね。離島というと沖縄に焦点があたる
事が多く、首都圏から近い(とはいえ距離は
かなり離れていますけど)東京都の島って
割と見過ごされがちって感じですよね。
私は昨年、大島と八丈島に行く機会がありました。
今まで伊豆諸島には行った事がなかったのですが、
ひなびた雰囲気など、なかなか面白いところだな、
と思ったりしたので、その伊豆諸島を取り上げている
この本を手にとってみました。

この本の目玉の記事といえば、
一般人は現在上陸不可能となっている
硫黄島」「沖ノ鳥島」の上陸記ですね。
硫黄島は昨年公開された映画「父親たちの星条旗」や
硫黄島からの手紙」で太平洋戦争の激戦の模様が
取り上げられていました。個人的な認識としては、
「戦争の際の地雷がまだ島に残っているから
立ち入り禁止」だと思っていたのですが、
実際のところは島全体が自衛隊
基地となっているため、立ち入り禁止だそうですね。
著者に同行した(というか、同行したのは
著者のほうですが)旧島民が、島に上陸して
島の生活を懐かしがっている様子が、印象に残りました。
そして、中国の侵略が問題となっている
沖ノ鳥島の上陸記も面白かったですね。
太平洋のど真ん中にある岩礁、という感じで
波が高い中で、苦労しながらも上陸を敢行する時の
記載内容が生々しかったですな。
沖ノ鳥島は私の住んでいる名古屋市
ほぼ真南に位置しているそうですね。
日本のはるか南岸とは知っていましたけど、
少し意外なトリビアって感じでしたね。
島としての「沖ノ鳥島」を守るため、
多額の資金を投入して島の保護を図っていますが、
領海が増えることでそれだけの価値はあるそうですね。

  • 距離的には近くても、各島なりの特徴があって

その他の伊豆諸島の記載も面白かったです。
新島の特産「コーガ石」、利島の「椿」など、
各島の特産品に焦点をあてて、
島の特徴を浮き彫りにしていますね。
このあたりは島巡り経験が豊富な
著者らしい記載内容だなと思いました。
伊豆七島」と一括りにされたりしますけど、
そこは海で隔てられた離れ島だけあって、
各島なりの特徴があったりするようですね。
また、伊豆諸島は黒潮の流れの真っ只中に
位置しているため、各島間の交流は
あまり盛んではなかった(というか、
船の技術が未熟な間は、行き来が出来なかった)
ようですね。そのため、各島にそれぞれ
独特な特徴が残ったようです。