「クジラと日本人―食べてこそ共存できる人間と海の関係」(はてな年間100冊読書クラブ 123/100)

 

著者は、IWC国際捕鯨委員会)の最前線で活躍している
水産庁の参事官とのことです。従って、IWCにおける
日本の主張「捕鯨禁止反対」に基づいて書かれていますね。
島国で漁業が身近であった日本に長年息づいてきた、
固有の文化としての捕鯨の歴史を紐解いて
捕鯨の必要性を説明しています。
そして、鯨油を獲るためだけにクジラを乱獲していた
(必要なのは油だけで、肉は捨てていたそうです。)
欧米諸国が、油が必要ではなくなった現在
捕鯨禁止に回る身勝手さなどを書いています。
さすがは最前線で活躍しているプロが書いただけあって、
納得力のある内容に仕上がっていますね。

  • クジラによる漁獲資源の減少の影響が大きく‥

一部を除いて捕鯨が禁止されている現状では、
むしろクジラの数は増えており、クジラが増えることによって
食べられる魚が増え、漁獲資源の減少が
深刻になっているそうです。
確かにあれだけ図体の大きいクジラは
見るからに食事量も豊富そうですよね‥(^^;)
また、クジラは魚をかまずに丸呑みする性質を持っているようで、
クジラの腹にイカや魚などがそのままの状態で
大量に収められている写真は、インパクトがありましたね。
なるほど、こんな食べ方をしていれば、
魚も減っちゃうなぁ‥という感じでした。

  • 理不尽な「捕鯨禁止」は納得出来ません‥

牛や豚を平気で食べておきながら、
「クジラは頭が良く、かわいそうだから」
捕鯨禁止という理論には納得し難いものが、
著者だけではなく私にもあります。
捕鯨反対方針の一方通行に思われたIWCですが、
捕鯨再開を働きかける日本の主張が、
徐々に他国に認められつつあるそうですね。
まぁ、私にはクジラの肉をぜひ食べたいとか、
そこまでの思いはありません。
しかし、過去から面々と続いてきた
漁業大国日本の捕鯨の歴史があり、そしてクジラの資源も
最近ではむしろ増えすぎて、魚の生態系を壊すような
レベルにもなってきているようなので、
捕鯨を再開しても良いのではないかと思います。
クジラの現状や、IWCの現在の状況などが解る、
なかなか面白い本に仕上がっていたと思います。