「国家の品格」(はてな年間100冊読書クラブ 118/100)

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

 

  • 論理至上主義の筈の数学者の著者が、論理を否定して

まさに今更ながらって感じなのですが、
図書館でようやく借りる事が出来たので、
少し前にベストセラーとなったこの本を読んでみました。
全般的に国家論について述べているのかと思いきや
そうではなくて、前半部分では、「アメリカに代表される
論理絶対主義では、世界は破綻するから
「情緒や形」などを大事にすべきであると
説いていますね。論理至上主義の代表かと思われる
数学者の著者が、論理絶対主義を否定している、
というのはなかなか面白いですよね。
現在の日本は、長期に渡った不況からの脱却策として
アメリカを模範とした「成果主義」風潮が強まり、
その結果として格差が広がりつつあるのは
皆認識していると思います。
アメリカ人の教育の真似をして、
「日本人も論理的に話すようになるべきだ」
なんて主張がされることもありますよね。
そんな時代の今こそ、日本人の美徳である
「情緒」に立ち返るべきである、
という点が著者の主張ですね。

  • 自国の文化・ルーツを理解してこそ、真の国際人

国際人となるためには、英語が話せるだけで
中身のない人間では相手にされない。
日本文化に精通していれば、拙い英語でも
物怖じせずに欧米人と対話をする事が出来る、
というのはもっともだと思います。
私も英語はあまり得意ではないですけど(^^;)
流暢な英語でも中身のない会話をしていては
仕方がないですからね。
武士道精神の礼賛、というのは、
一世代前の5千円札の肖像で有名になった
新渡戸稲造の名著として知られている
「武士道」が有名ですよね。
なんとなく右翼的な復古調の印象もありますけど、
日本人のルーツをさかのぼり、
日本人らしさを追求していくことは
やっぱ必要だと思います。
世界的な文学「源氏物語」を生み出すなど、
日本文化は世界に誇れるものがありますからね。
長引いた不況で日本人全体が
自信を失ったと言われている現在、
自信を取り戻すために、先人の業績を
回顧するのも良いかと思います。
まぁ最近の中国や韓国を見ていて、
個人的に右寄りになっているという感は
否めないと思いますけど‥(^^;)