「なごや環境首都宣言 トップランナーは、いま〜」(はてな年間100冊読書クラブ 115/100)

なごや環境首都宣言―トップランナーは、いま

なごや環境首都宣言―トップランナーは、いま

 

  • ゴミの分別処理は定着して‥

名古屋市長である著者による、
環境問題への取り組みの本ですね。
名古屋市では、数年前に野鳥の飛来地として知られる
藤前干潟をごみ処分場として埋め立てする計画が頓挫し、
それ以降、ごみの分別に非常にうるさく、
細かくなりましたね。分別制が導入された当時は
私の家庭でも分別に相当苦労しました。
今までは「燃えるごみ」「燃えないごみ」に
区別するだけでよかったものが、
紙類などは「資源ごみ」となったりして、
私の家でもこれらの区分別にゴミを分けるために、
ゴミ箱の数が増えたりしました‥(^^;)
ただ、松原市長が本書で書いているように、
最初はうんざりしましたけど、慣れると細かすぎると
思える区分でも当たり前に思えてきますよね。
今では私も、しっかり区分して
ゴミを捨てるようにしています。

そのようなゴミ分別に市長として苦労したことや、
あとは愛知万博愛・地球博)のエピソードも
収録されています。愛知万博は、当初は瀬戸市
海上の森」が海上として予定されていましたけど、
希少動物のオオタカの巣などが見つかったりして、
会場の変更を余儀なくされましたよね。
まぁ、海上の森の計画は、「博覧会終了後は
会場跡を住宅地として整備する」といった
バブリーな計画もあったりしていましたから、
今考えれば、海上の森が使えなくなって
良かったのかもしれないですね。
また、会場面積が小さくなったため、
博覧会自体もコンパクトになりました。
しかし、娯楽の少なかった昔の大阪万博の時代のように、
娯楽の多様化している現代では、「誰もが期間中に
1度は万博に行く」といった風潮は無いですから、
コンパクトになったことにより、経費の削減が
達成できて、むしろ良かったのかもしれないですね。

その他、松原市長が提唱している
「東山の森(名古屋市の東部にある、東山動物園一帯)」
里山にする試みなども綴られています。
東山一帯は、都心部にしては珍しく緑の残っている
一帯ではありますけど、動物園や植物園などの
人工的な施設が中心に鎮座していることもあって、
里山」レベルまではどうなのかな、という気がしますね。
東山の周りに、連携できるような緑のある環境も
無いですし‥(平和公園は東山に含む、とする。)
この本の標題には「環境首都宣言」などと出ています。
確かにゴミの分別については、自主的ではなく
やむを得ない上からの活動とはいえ、
現状では高いレベルの活動が出来ていると思います。
ただ、それ以外の環境面の活動となると、
藤前干潟が結果的に残った、という程度であり、
首都宣言とまではおこがましいかな、
という感じはしてしまいますね‥

  • 盛り上がりを欠く、本丸御殿復元活動‥

あと、名古屋市が今力を入れている
名古屋城本丸御殿の復元の件ですが、
名古屋市民の間の盛り上がりはもう一つで、
寄付金もあまり集まっていないみたいですね‥
盛り上がっていない原因として、
現時点では、松原市長をはじめとする、
お上の旗振りが中心となっており、
市民の間に復元運動が根付いていない、
ということがあげられるかと思います。
今のところ、「本丸御殿を復元すると、
こんなメリットがある」というところが
具体的に見えないですからね‥
復元に使う資金は、市民や企業の寄付金も
あるでしょうけど、主に市民の税金ですからね‥

  • ハコモノ行政の一貫では、という感は拭えず‥

そして、名古屋城は全国的に有名ですけど、
戦災で焼失して再建されたものであり、
建物はコンクリート造りで中には
エレベーターがあったりしています。
名古屋市民は現状ではほとんど行かないような
そんな名古屋城なのですが、
そこに更に復元施設を建設して
果たして魅力ある観光施設になるかとなると、
個人的には疑問なんですよね‥
お上お得意の、ハコモノ建設行政の
一貫ではないかと思われてしまいます‥