「サバがトロより高くなる日」(はてな年間100冊読書クラブ 113/100)

サバがトロより高くなる日

サバがトロより高くなる日

 

  • 世界各地の魚を食べ尽くしてしまう日本人‥

乱獲によって世界中の魚が激減している、
その実態を記した本ですね。残念ながら、
世界最大の魚介類消費国である日本も
魚の激減に大きな役割を果たしてしまっています。
そんな中で、世界各国で日本向けの養殖が
盛んに行われていたり、また激減してしまった魚に
食感などが似ている「代用魚」が、世界各地から
日本に運ばれてくる様子が記載されていますね。
なるほど、今では「100円均一の回転寿司屋」
など出来て、我々庶民でも安くお寿司が
食べられるようになりましたけど、
その裏には、世界各国の魚を食べ尽くしている、
という実態があるんだなぁ‥と改めて実感しました。

  • 「養殖」・「代用魚」・「産地偽装」‥安い魚の裏にある現実

漁法の発達により、稚魚まで獲り尽くしてしまい、
また密漁や漁獲高の制限を守らない国もあるため、
魚は瞬く間に激減してしまいます。
加えて一旦激減してしまうと、
回復は至難の技となっています。
そんな事象が、マグロにはじまりタラ・ウナギなど
あらゆる魚で繰り返されていることが実感できますね。
養殖については、最近中国産のウナギが問題になった
違法物質の使用、またマグロ(トロ)の育成に
代表されるように、太らす(脂を乗せる)ため
エサを与え続けることによる
海洋の汚染といった感じで、問題が山積みですね。
その他、上記の「代用魚」の例や
(今では、「代用魚」事態が絶滅の危機に陥っている
ケースもあるようです。)、北朝鮮産のアサリに
代表される産地偽装の問題など、
日本で売られている魚については、
様々な問題がある事が実感できました。
回転寿司で安い寿司をたらふく食らう時には(笑)
今回この本で読んだ上記のような事象に、
思いを馳せるべきかな、なんて考えたりしました。

  • 魚も「限りある資源」なんだなと実感‥

また、「限りある資源」というと、まず石油が
頭に思い浮かびますが、この本を読んでいると、
「漁獲資源の枯渇」もそれほど遠いことでは
ないんだな、と実感出来てしまいました。
養殖という手はありますけど、上記の通り
自然に与える悪影響も大きそうですからね‥
また、資源の枯渇に加えて、地球温暖化に伴う
海水温度の上昇も、当然ながら魚の生息に
大きな影響を及ぼすようです。寒い海域にしか
住めないような魚にとっては、
生域が狭まってしまうことになりますからね‥
この本では、「我々消費者も、そのような
養殖マグロは、環境保護の視点から食べないことだ」
と訴えていますね。希少動物問題でもそうですけど、
「一度減ってしまうと、回復は難しい」
ということを改めて認識しました。