「護憲派の一分」(はてな年間100冊読書クラブ 112/100)

護憲派の一分(いちぶん) (角川oneテーマ21)

護憲派の一分(いちぶん) (角川oneテーマ21)

 

社民党社会党であった頃、野党第一党として
華やかなりし時代に一世を風靡した感のある
元委員長の土井たか子さんの本ですね。
評論家の佐高信氏の対談を挟んだりして、
ずっと「護憲」を訴えてきた
土井たか子さんの政治人生の総括が中心、
という感じでした。先日行われた参議院議員選挙では、
年金問題に事務所費問題が選挙の焦点の中心となり、
社民党共産党が主に訴えていた「護憲」については
脇に追いやられてしまっていましたね。
憲法問題に関しては、党内に護憲派改憲派を抱えており
一枚岩ではない民主党が躍進したことは、
「護憲」についての関心が低かった
何よりの証佐かと思われます。

  • 自民党の政治家の名前は出て来ますけど、社会党の政治家はほとんど無く‥(^^;)

閑話休題土井たか子さんの話に戻ると、
戦争体験を経て、戦争放棄を定めている
憲法を護っていくことを使命としたこと、
立候補のいきさつ、そして議員活動における
自民党の有力者との交流なども描かれています。
紙面が割かれている三木武夫氏や宇都宮徳馬氏に
土井さんが心酔していた様子が窺えます。
自民党の政治家の名前が出て来るのに対して、
そういえば日本社会党の議員については
ほとんど触れられていないですな‥(^^;)
それだけ、土井さんの印象に残るような人材が
社会党内には少なかった、ということでしょうか‥(笑)
最大野党・社会党の委員長、そして衆議院議長
座にもついた、日本の歴史に残る政治家とも言える
土井たか子さんの政治人生を振り返る一冊として、
興味深く読む事が出来ましたね。

  • 社会党の失策については、触れられず‥

ただ、社会党衰退の大きな原因となった、
村山富市内閣時代、政権与党になったことによる
政策の大幅な変更や、あるいは日本人拉致事件の発覚以降
批判されてきた北朝鮮との繋がりについては、
あまり触れられてはいませんでしたね‥
このあたりは物足りないところでした。
社会党の栄光と盛衰を体験した土井さんには、
ぜひ社会党の総括をして貰いたかったところなのですが。
一方で、北朝鮮に拘留された船長の救出劇に
土井さんが骨を折った様子など、
正々堂々と自慢出来ることは記載されていますけど‥
また、この本は評論家の佐高信さんとの対談、
という構成を取っています。佐高さんといえば、
辛口の評論家かと思っていたのですが、
この本を読む限りでは、佐高さんは土井さんのファン
(=社民党の支持者?)のようであり、
土井さんに対するツッコミ等は全く無く、
調子を合わせているだけって感じですね‥
読んでいて、「佐高さんの本質はこうだったのか‥」
と少々ガッカリしてしまいました。