「百姓から見た戦国大名」(はてな年間100冊読書クラブ 107/100)

百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)

百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)

 

  • 戦国時代を、大名側からではなく百姓側から見る

日本史が好きな人達にとって、
戦国大名が覇を競い合い、その中から
織田信長豊臣秀吉徳川家康を輩出した
戦国時代は、人気の高い時代かと思います。
戦国時代といえば、通常は上記の英傑のような
戦国大名に焦点があたる事が多いのですが、
本書は百姓・農民側からの視点で描いていますね。
戦国時代の農民といえば、戦争を繰り返す戦国大名
徴兵され翻弄されて、疲弊が続いたという印象が
今まではあったのですが、この本を読んでいると、
農民側が必ずしも戦国大名の思うがままには
なっていなかった事が窺えますね。
結構新鮮な視点で本書を読む事が出来ました。

  • 大名に黙って虐げられていたのではなく‥

戦争が繰り返されていた戦国時代は、
飢饉の影響もまた凄かったようです。
飢饉といえば、江戸時代に「天命の大飢饉」など
何度か起こっている事が有名ですが、
考えてみれば、戦国時代はその江戸時代より
前の時代になりますし、まして戦乱で
国が乱れていれば、飢饉も今よりずっと
凄い状況であったと考えられますよね‥
そんな中で農民たちは、黙って虐げられていた
訳ではなかった、という史実を
この本を読んで知る事が出来ました。
村八分」など、今なお残る村のしきたりに
代表されるような「村」の結束の強さ、
(例えば、隣村との境界争いに参集するなど)
などが解りますね。飢饉と戦争で大変な時代では
ありましたけど、大名に「世直し」を求めるなど、
結構活発に動いていたようですね。
まぁ農民達も、生きるのに必死だったのでしょうけど。