「「旭山動物園」革命―夢を実現した復活プロジェクト」(はてな年間100冊読書クラブ 101/100)

「旭山動物園」革命―夢を実現した復活プロジェクト (角川oneテーマ21)

「旭山動物園」革命―夢を実現した復活プロジェクト (角川oneテーマ21)

入園者減少のスパイラルを脱し、
鮮やかな復活を遂げたことで著名になった
旭山動物園、その旭山動物園の園長が
自ら書き下ろした本ですね。
お金がないため珍獣を集める事が出来ない中で、
園長の著者や飼育員をはじめとする皆が
知恵を出し合って工夫していった様子が窺えます。
話題になった冬のペンギンの行進など、
ニュース報道を見聞きする限りでは、
「見世物的なところが強いのではないか」
と思っていましたけど、
実際のところは、ペンギン自身が外に出たがる
習性があるとのことですね。
この例に漏れず、旭山動物園の手法は、
「動物の立場になって考える」ことが
基本になっているようです。
この旭山動物園の復活劇は、「プロジェクトX」でも
取り上げられていたりして、どちらかというと
ビジネスモデル的な要素が強かった
印象がありましたが、根本にはしっかりと
「動物本位の動物園」という、原則が
貫かれていたんですね。

  • 一方で飼育の失敗談などのエピソードも‥

また、失敗談も赤裸々に記載されていましたね。
木の上で生活する動物と地上で生活する動物、
生活圏が違うから大丈夫と判断して
一緒に展示するようにしたら、
木の上の動物が地上に降りた時に、
地上で生活する動物が「縄張りに侵入した」と
判断して襲い掛かって死なせてしまった事例とか。
また、死ぬ間際のゾウと作者との交流の様子など、
動物園の園長ならではのエピソードが
満載という感じですね。
この本に書かれたような方針で飼育されていたら、
動物たちも生き生きしてくるだろうな〜
と実感しました。現在の旭山動物園は、
そんな動物を見にたくさんの顧客が訪れ、
好循環を生んでいるという感じでしょうか。