「難民世代 団塊ジュニア下流化白書」(はてな年間100冊読書クラブ 97/100)

ベストセラーにもなった「下級社会」の著者
三浦展氏による、「下流社会団塊ジュニア編」
とも言える本ですね。その前作「下流社会」では、
少ないサンプルの中から強引に結論を
導き出している、といった感がありました。
その批判を受け止めたのか、今回はサンプル数の多い
統計データを持ち出して来ていますね(笑)
ただ、強引に結論に結び付けにいくところは、
やっぱ著者らしいな、という感じです。
内容的には、特別目新しさは無いですね。
団塊ジュニア世代は人数が多いため、
受験や就職における競争が激しく、
競争から弾き飛ばされた人が難民にならざるを
得なかった、という展開ですからね。
自分がまさにこの団塊ジュニア世代であり、
受験難民・就職難民・そして結婚難民(笑)
を自らも実感していますから‥(^^;)
まぁ受験はともかく、就職については
ただでさえライバルが多いところに、
バブル崩壊という社会現象が
ダブルパンチを与えた、という感じですね。
その後の派遣社員やフリーターといった
現象も、必ずしも若者層の無気力とかだけではなく、
企業の景気回復の犠牲として、
非社員化・低賃金化が図られたから、
というのが真実だと私は思います。

  • 第2次ベビーブームは実は都市部だけの現象だった‥

「ただでさえ同期のライバルが多いところに、
就職氷河期が直撃してしまい、
正社員になれずに派遣社員やフリーター化
してしまう人が多かった。そして正社員では無いと
収入的に厳しいため、なかなか結婚に踏み切れずに
「結婚難民」が増え、その結果が急激な
少子高齢化に繋がっている。」というのは、
ここ最近ずっと話題に上っていることでも
ありますからね‥その一方で楽天ライブドア
代表されるような「IT長者」が登場している訳ですが。
ただ、団塊ジュニア世代が都市部に偏っていること
を実際にデータで示されるというのは
なかなか興味深かったですね。
「第二次ベビーブームは若年層が多かった
都市部だけの現象であり、地方では
第二次ベビーブーム現象は無かった」というのは
新たな真実って感じですよね。