「知ることより考えること」(はてな年間100冊読書クラブ 81/100)

知ることより考えること

知ることより考えること

  • 久しぶりに哲学関係の本が読みたかったのですが‥

最近はずっと遠ざかっていたのですが、
なんだか久しぶりに哲学関係の本を読みたくなりました。
哲学の棚にあったこの本を手にとって
読み始めてみた、というのがこの本を読んだきっかけでした。
ただ、予想や期待とは少し違ったかな、
という感じの本でしたね。この本は著者が週刊新潮
連載した「哲学的なエッセイ」だそうです。
週刊誌の連載ということで、時事ネタなどが
織り込まれているのですが、著者の切り口が
哲学的というよりは、どうにも偏屈に思えてしまいました。
例えば「自分はパソコンを使いこなせないから、
これからも原稿は手書きで書く」というところは
別に構わないと思いますけど、その延長線上で
インターネットなど不要と言い放つとか。
まぁ、「知ることよりも考えること」を重視する
哲学者にとっては、インターネットで知識を得ることは
意味の無いことなのかもしれないですけど‥
また、週刊新潮を読むおじさん層は、
IT化についていけない人も多そうなので(笑)
そういう人たちからは喝采を浴びているのかな‥(笑)

  • 著者の切り口がどうにも偏屈に感じてしまい‥

また、「自分は政治には興味はありません」
「サッカーにも全く興味はありません」という感じで、
それらに熱狂する人達をこきおろしてみたりと、
読み進めるに従って、著者の偏った趣向というか
偏屈なところを押し付けられる感じがして
とても不快に思えてしまいました。
哲学者の書なのに、取り上げられている内容は
週刊誌の連載ということもあって、
上記のような俗世間っぽい内容が多く、
またその「俗世間的内容」について、
実体験する前から嫌ってこき下ろしているだけですから、
これはどうなのかな、という感じがしました。
著者が「もはや新しいものは受入れられない」
という感じのおじいさんならともかく(笑)
まだ若そうな(四十代)だけに、余計に
偏屈に思えてしまったのかもしれません。
ただ、この本の著者は最近亡くなったそうですね、
私は今回は著者のことは全然知らずに
この本を手に取ったのですが、
これも何かの偶然かもしれませんね。
死者に鞭打つというか、死後直後に
その著書を批判するのはあまり気が進まないのですが、
やはり私にはこの本の内容は
基本的には受け付けませんでした。
唯一納得できたところは、
品格に関する所位かな‥という感じでしたね。