「家計からみる日本経済」(はてな年間100冊読書クラブ 64/100)

  • 「家計」に焦点をあててみた、珍しい経済本

経済・経済学に関する本の中で、
「家計」に焦点をあてている本というのは
なかなか珍しいって感じですよね。
政府や企業の経済活動は注目が高いのですが。
この本ではそんな家計の経済活動に
焦点があてられています。著者が、
以前私が読んだ「格差社会」の分析本で
なかなか興味深い分析をしていた橘木俊詔さん、
ということも、この本を手に取った要因の一つでしたね。
年金問題等の将来への不安が、
家計の支出を冷え込ませていることが、
景気回復基調が続いていると言いつつも
我々一般庶民がそこまで景気の回復を実感できない
一因であるとしています。
また格差社会の風潮が強まることとも
関連がありますが、貧困家計の増加・所得格差の拡大
そして高すぎる物価水準などが、
家計の支出を冷え込ませる要因だとしていますね。

  • 低成長社会でも、豊かに暮らしたいですよね‥

低成長社会でも我々一般庶民が豊かに
暮らしていくためにはどうすれば良いか、
(年金や医療などの社会保障制度の改革が必要)
などの提案も織り込まれています。
この著者の前作「格差社会」でもそうでしたけど、
豊富なデータを集めて分析している点は、
内容に信頼は置けますけど、
ただこうして本として読んでいると、
少々読み辛い感もしてしまいますね‥
そこを乗り越えられれば、
興味深く読める本ではないでしょうか。
格差社会など、日本はアメリカ型の社会を
目指していると最近良く聞きますけど、
そのアメリカは、国民皆健康保険制度ではないため、
貧困層は満足な医療が受けられないそうですね‥
こういう点も覚えておいた方が良いと思います。