「新・民族の世界地図」(はてな年間100冊読書クラブ 55/100)

新・民族の世界地図 (文春新書)

新・民族の世界地図 (文春新書)

  • 民族問題がわかりやすく解説されています

民族問題を解り易く解説した本ですね。
この本は著者が特定の人物ではなく「21世紀研究会」と
ぼやかしてあります。そのため、内容については、
「異なる著者によって分担して書かれているため
全体的にまとまりがないのかな」
と思っていましたけど、そんな事は無かったですね。
例えばイスラエルに象徴される中東のユダヤ人問題、
キプロスやインドなどで勃発している宗教問題、
そして植民地時代の宗主国の政策や
人工的な国境に起因するアフリカの紛争など、
現在発生している民族問題が、解り易く解説されています。
国際情勢を知るためには格好の一冊、という感じでしょうね。

  • 日本人にとっては、「民族問題」「宗教問題」は実感に乏しいかも‥

もっとも、日本はほぼ単一民族で構成されており、
また日本人はあまり宗教にのめりこむ事がないため、
私ももちろんですけど、「民族問題」「宗教問題」
という点については、どうしても実感が乏しくなって
しまうところは否めないですね。
しかし、中東のイスラエル問題など、
「こちらが正しくてこちらが悪い」とは
言い切れない状況であり、また紛争の両当事者共が
納得出来るような結論もなかなか見当たらないので、
結果ここまで紛争が長引いてしまっているのでしょうな。
また、紛争の長期化の結果、憎しみが憎しみを呼び、
和平が更に遠のいているような状態になってしまっている
ところも多く、世界平和の道はまだまだ遠そうですな‥
ただ、こういう時事的・国際的な内容を扱った本は
なるべく新しい本を読むべきですね。
そういう点では、普通の小説とは違って賞味期限は短く、
この本は雑誌の延長線とも言えるかもしれません。
ただ、雑誌であれば、もっと大判で図を駆使したりして、
より見易くビジュアルな本が出来そうですよね。