「セブン‐イレブンの「16歳からの経営学」」(はてな年間100冊読書クラブ 52/100)

  • 「16歳からの」とはいえ、大人でも充分読むに堪えます

コンビニチェーンの中で一人勝ちを続けるセブンイレブン
そのセブンイレブンの強さが解る本ですね。
タイトルに「16歳からの経営学」とあるとおり、
内容は高校生に語りかけるように
「君たちは〜」と始まる文体で
書かれていたりもしますけど、普通の大人が読んでも
全然問題なく読む事が出来ますね、
&充分読む価値がある本って感じですね。
また、セブンイレブンという凄く身近なお店が
対象であるだけに、想定の高校生読者に限らず
内容は誰にでもすんなりと頭に
入って来るのではないでしょうか

  • パート・アルバイトの人をしっかり戦力にしている

この本を読んで、セブンイレブンの色々な強みを
知る事が出来たのですが、一つ驚いたことは、
「アルバイトやパートの人を、
見事に戦力にしているんだな」というところでしたね。
普通パートやアルバイトというと、雇う側は「人件費の削減、
いつでも解雇可能」といったコスト面が重視され、
また雇われる側も「生活費や遊ぶお金を稼ぎたい」という感じで
お互い割り切った感じの雇用関係、という認識をしていました。
しかしセブンイレブンでは、パートやアルバイトに商品の発注や
陳列を任せて、責任感を持たせようとしています。
もちろん最初は発注のし過ぎで廃棄商品を出してしまったり
することもありますが、次第にパート・アルバイトさん自身が
天候や周りの会社や学校の行事予定を想定に入れて、
発注する商品の内容や量を日々自分で変化させるように
なる例が紹介されていますね。ここまでパート・アルバイトさんを
戦力に出来るところは凄いな、という感じがしました。
私は学生時代は別のコンビニでバイトをしていた経験があり、
発注も担当した事がありますけど、
ここまで意識して発注していた経験は無かったですね‥(^^;)

  • 小売業とメーカーは、敵対するのではなく‥

コンビニというと、店頭に並べる製品は「売れ筋商品」に
商品点数を絞っているものだと思っていましたけど、
セブンイレブンでは商品開発にも力を入れているようですね。
アイスクリームの新商品の開発では、
メーカー側が「無理だ」というところを、
説得を繰り返したりして、次第にメーカー側にも
その情熱が認められて、メーカー・お店が一体となって
新商品の開発に取り組む例が紹介されていました。
マーケティング的には、「川上のメーカー主導の価格決定」と
「川下の小売業主導の価格決定」は当然相反するものであり、
メーカーと小売業は価格決定という点では
勢力争いを繰り広げるもの、ということが定説ですが
(最近合併や企業統合を繰り返している電気店
その典型とでしょうか、「仕入量のヴォリュームで
価格交渉力を高める」という感じですね。)
セブンイレブンでは「顧客にとっての最大の満足」
を目指すために、両者が手を携えて目標に向かって
取り組んでいく様子が窺えましたね。

  • 毎週1回、地域マネージャーを呼び集めて‥

また、全国各地の社員(地域のマネージャー)を
毎週1回東京に呼び集めて、社員に価値観を共有させる、
という取り組みも凄いと思いました。
毎週1回全国から東京に呼び集めるとなると、
当然出張費もバカにならない訳ですが、
出張費以上に「トップの価値観を共有させること」
を重要視していることになりますからね。
最近は各会社でも「ミッション・ビジョン」を
掲げる例が多くなりましたけど、
それを全社員にしっかりと浸透させるためには
これ位力を入れなければならないんだな、
ということを実感しました。
そういえば先日読んだ「リッツ・カールトン」の本でも
ミッションにあたる「クレド」の浸透に
力を入れていた様子が窺えましたね。
その結果、各地域のマネージャーが力をつけて、
それぞれの担当の店が強くなる、
というところなのでしょうね。
この本でも、店のオーナーが店舗担当の
マネージャーの言うことを聞いてくれない例が
取り上げられていますけど(^^;)
そんな時にオーナーをどう説得するのか、
というところはマネージャーの力の見せ所ですよね。