「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る」(はてな年間100冊読書クラブ 45/100)
ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書)
- 作者: 門倉貴史
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/11/09
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 67回
- この商品を含むブログ (94件) を見る
- 時流に乗った本かと思いましたけど、なかなかしっかりとした内容で
ワーキングプアと言えば、テレビ番組のNHKスペシャルが
きっかけでメジャーになったと思います。
この本はその言葉をタイトルに使っているため
読む前は「時流に乗った便乗本かな」と思っていましたけど、
内容はなかなかしっかり書かれていましたね、良かったと思います。
データや統計も豊富に盛り込まれていましたけど、
一番印象に残ったのは、やっぱワーキングプア層への
インタビューを収録した場面でした。
日々の暮らしでさえ大変、将来への展望は見えずに
絶望してしまうのも解るなという感じですね。
また、ワーキングプアが増加した背景(日本型雇用システム
=終身雇用と年功序列賃金の崩壊)にも触れています。
非正社員から正社員への門戸を開くことなどの
提言もあることも良い内容だなって思いますね。
- 非正社員から正社員への道は遠く‥
昨年あたりから景気回復に伴う新卒採用人員が
各社とも大幅増になっています。
少子化ともあいまって、就職活動戦線は
学生側にとって有利な売り手市場となっています。
しかし、私の就職した頃は不況に伴う
「就職氷河期」であり、加えて同年代の人数が多い
「団塊ジュニア」世代であるため、
就職活動戦線は圧倒的な「買い手市場」でした。
同年代の多くが不本意な就職を強いられ、
また就職できずにフリーターとなり、
ワーキングプア層に定着せざるを得ない状況となっています。
就職活動戦線が売り手市場となっても、
ご存知の通り非正社員(フリーターなど)を続けていて
キャリアのない人達にとっては、
中途採用の道はほとんど開かれておらず、
フリーターをいつまでも続けざるを得ないですよね。
この本に書いてある通り、非正社員から正社員への道を
開いていく事が必要だと思います。
ただ、この本によると労働人口の4人に1人は
生活保護水準で暮らしているそうですね。
フリーターなどの若者層だけではなく、
労働環境は想像以上に厳しい状況となっているようです‥
不況が底を打ち、現在は「好景気が長く続いている」
状況だそうですが、我々一般市民がそれほど景気の良さを
実感できないのも、そんな実態に原因がありそうですね。
小泉純一郎首相が押し進めた郵政民営化などの
「構造改革」の結果、格差社会が深刻化してしまい、
「一部の裕福な層と大多数の貧しい層」に
今後ますます二極化されていきそうですよね‥
そんな事を改めて実感した思いでした。