「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る」(はてな年間100冊読書クラブ 45/100)

ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書)

ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書)

  • 時流に乗った本かと思いましたけど、なかなかしっかりとした内容で

ワーキングプアと言えば、テレビ番組のNHKスペシャル
きっかけでメジャーになったと思います。
この本はその言葉をタイトルに使っているため
読む前は「時流に乗った便乗本かな」と思っていましたけど、
内容はなかなかしっかり書かれていましたね、良かったと思います。
データや統計も豊富に盛り込まれていましたけど、
一番印象に残ったのは、やっぱワーキングプア層への
インタビューを収録した場面でした。
日々の暮らしでさえ大変、将来への展望は見えずに
絶望してしまうのも解るなという感じですね。
また、ワーキングプアが増加した背景(日本型雇用システム
=終身雇用と年功序列賃金の崩壊)にも触れています。
非正社員から正社員への門戸を開くことなどの
提言もあることも良い内容だなって思いますね。

昨年あたりから景気回復に伴う新卒採用人員が
各社とも大幅増になっています。
少子化ともあいまって、就職活動戦線は
学生側にとって有利な売り手市場となっています。
しかし、私の就職した頃は不況に伴う
就職氷河期」であり、加えて同年代の人数が多い
団塊ジュニア」世代であるため、
就職活動戦線は圧倒的な「買い手市場」でした。
同年代の多くが不本意な就職を強いられ、
また就職できずにフリーターとなり、
ワーキングプア層に定着せざるを得ない状況となっています。
就職活動戦線が売り手市場となっても、
ご存知の通り非正社員(フリーターなど)を続けていて
キャリアのない人達にとっては、
中途採用の道はほとんど開かれておらず、
フリーターをいつまでも続けざるを得ないですよね。
この本に書いてある通り、非正社員から正社員への道を
開いていく事が必要だと思います。

ただ、この本によると労働人口の4人に1人は
生活保護水準で暮らしているそうですね。
フリーターなどの若者層だけではなく、
労働環境は想像以上に厳しい状況となっているようです‥
不況が底を打ち、現在は「好景気が長く続いている」
状況だそうですが、我々一般市民がそれほど景気の良さを
実感できないのも、そんな実態に原因がありそうですね。
小泉純一郎首相が押し進めた郵政民営化などの
構造改革」の結果、格差社会が深刻化してしまい、
「一部の裕福な層と大多数の貧しい層」に
今後ますます二極化されていきそうですよね‥
そんな事を改めて実感した思いでした。