「特別模範男」(はてな年間100冊読書クラブ 37/100)

特別模範男

特別模範男

JRA中央競馬)のトップクラスの騎手・藤田伸二騎手の本ですね。
藤田騎手といえば、派手な外見(茶髪&ピアス&タトゥー)
でアスリートっぽくないアウトサイダー的なところが元々ありました。
昨年末には飲食店の店員を平手打ちしてしまい、
3ヶ月間の騎乗停止処分を食らっているように
ますます「問題児」な面が強くなって来ているように思います。
「特別模範男」の標題も少し色あせてしまいますよね。
(ただ騎手としてレースではフェアプレーを続けており、
「特別模範騎手」として表彰されています。)
しかし、この本を読むと、そんな藤田騎手の本音を
窺う事が出来ますね。ここまで波乱万丈な人生を
送ってきたんだな、という感じです。

  • 家庭環境はなかなか壮絶‥

しかし藤田騎手の家庭環境は
なかなか壮絶なものだったようですね。
両親は離婚して再婚、母親に引き取られた藤田騎手は
小学校では苗字が変わって辛い思いもしたそうです。
加えて家庭は極貧、そして背も低く、
もしこれで性格が大人しいと、いじめの対象に
あってしまうこと間違いなし、という感じですね。
もっとも、上述のようにタトゥーを入れたり、
また雇い主のJRAに正々堂々と刃向かうように
藤田騎手本人は非常に負けん気の強い性格なので(笑)
いじめられはしなかったようですが。

  • 騎手という天職に巡り会えた幸運

そんな藤田騎手にとって、騎手という職業は
まさに天職だった、という感じですね。
故郷の北海道の牧場を訪れた調教師(恩師)の目に留まり、
「騎手にしてやる」と言われたものの、
その恩師には忘れ去られてしまって(^^;)
1年の浪人を余儀なくされます。
しかし、忘れ去られた恩師と再び縁があり、
遂に騎手育成学校へ入学する事が出来る様になるのですが、
これも一つの縁って感じですよね。
もし藤田騎手が再び恩師との縁が無くて
そのまま騎手になれなかったとしたとすると、
荒れ気味の家庭環境、そして貧困、学業面は低空飛行
という状況を考えると、道を踏み外していた可能性が
高かったのではないかな、と思います(笑)
しかし、忘れ去られてしまったとは
ある意味とんでもない恩師ですよね‥
子供の一生がかかっている訳ですから‥(^^;)

  • 面倒を見てくれる予定の恩師が急死‥

競馬学校でも持ち前のやんちゃな性格から
あわや退学処分になりそうなところまで
行ったりもしますけど(笑)なんとか卒業出来て、
無事騎手としてデビューすることになります。
しかし面倒を見てくれる予定の
上述の恩師が急死してしまいます。約束を忘れていたり、
最後までとんでもない恩師って感じですな(笑)
また競馬学校で問題児であった藤田騎手を
代わりに積極的に受入れてくれる厩舎もありません。
なんとか決まった受け入れ先の調教師とは
ソリがあわずに最後まで気まずい間柄だったようですね。

  • なんと両親にお金を使い込まれて‥

騎手として成功していた藤田騎手は
北海道から両親を呼び寄せるものの、
その両親にお金を使い込まれてしまいます。
‥離婚再婚を繰り返して、子供に辛い思いをさせているのに、
その上子供のお金を勝手に使い込むとは、
最後までとんでもない両親ですよね!
ここで藤田騎手は両親と絶縁宣言をして、
性も嫁さんの性に代えたそうです。
(従って藤田は旧姓になるそうですね。)
最近は子供を虐待するとか、給食費を払わないなど、
とんでもない親が増えていますけど、
子供のお金を勝手に使い込む藤田騎手の両親も
そのとんでもない親の一例って感じですな‥

  • 強気な一方で、繊細な一面も‥

ただ騎手としては、トップクラス級の騎手として
活躍を続けており、また私生活でも嫁さんには恵まれて
ようやく幸せ(暖かい家庭生活)に巡り会えたかな、
という感じですね。一方でタトゥー等の派手な行動、
及び強気な性格とは裏腹に、藤田騎手は
繊細な一面も持ち合わせているみたいですね。
飛行機や新幹線などの交通機関に乗ると
呼吸が困難になる時もあるそうです。
アサクサデンエンのドバイ遠征、
藤田騎手は騎乗していませんでしたけど、
そういう理由があったとは
あの藤田騎手なだけに、思いもよりませんでした(笑)
そんな感じで、騎手としては異色の存在の(笑)
藤田騎手ですけど、この本を読んで、
本人が言っている「男気」のようなものは
伝わってきたかな、という感じは受けました。
藤田騎手の言動は確かに突拍子も無い印象もありますけど、
本人なりの筋を通す生き方をしてきたんだな、
という感じですね‥(^^;)