「風林火山」(はてな年間100冊読書クラブ 35/100)

風林火山 (新潮文庫)

風林火山 (新潮文庫)

  • 原作は意外に短く、脚本家の方は大変だな‥と

この日記でも時々言及している、
NHK大河ドラマ風林火山」の原作本ですね。
時代小説としては短く、1巻で完結しているため、
内容的にはそれほど多くはないですね。
逆にこの本を原作として、1年間の大河ドラマ
作るとなると、オリジナルの部分がかなりの箇所を
占めるのではないかと思います。
今年の大河ドラマの作者は、やりがいがある反面、
仕事量的には大変だろうなぁ、と思ったりしました(^^;)
例えばこの本は、主人公の山本勘助
武田信玄に仕えるところから始まっていますけど、
大河ドラマでは開始から2ヶ月が過ぎても
勘助はまだ信玄には仕えず、むしろ敵対していたりしますし。
ということはこの2ヶ月間のシナリオは
ドラマのオリジナルって事ですよね。
本のラストは川中島の合戦ですが、
勘助はここで死ぬ設定になっていますから、
ここはさすがにドラマも同じところで終わるのかな‥(笑)

  • 主人公の勘助の気持ちに共感出来ずに‥

ただ、1冊ということで内容的に短いこともあり、
一般の時代小説とは違って、人物を描ききれていないような、
そんな印象を受けてしまいました。
主人公の山本勘助、ヒロインとも言える存在の由布姫、
そして勘助の主人・武田信玄以外の人物の存在感は
非常に薄かったですね〜(笑)
それ以外の人物で印象に残っているのは、終盤川中島の合戦
武田軍が敗れることを予想していた高坂正信位でしょうか。
また、主人公の勘助自身にあまり思い入れが
出来なかったところも、この小説をもう一つだと
感じてしまった原因かと思います。
また、勘助の由布姫への恋慕にも似た感情、
とはいえ由布姫の夫・信玄にも忠誠を誓っているところなど、
ちょっと屈折しているというか、個人的には勘助の気持ちが
理解出来なかったところも理由の一つですね。
由布姫への気持ちから、信玄と由布姫の子・勝頼を
武田家の後継ぎに育てようとするところとか、
私利私欲としか思えなかったりして。