「少年事件に取り組む 家裁調査官の現場から」(はてな年間100冊読書クラブ 21/100)
- 作者: 藤原正範
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/02/21
- メディア: 新書
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- 少年使用の様子が赤裸々に‥
元家裁調査官の著者による、
少年司法の実態を赤裸々につづった本ですね。
色々な例が出ていますが、残念ながら成功例は少なく、
再犯への道をたどる少年が多いこと、
そして家庭環境が大いに少年の行動を左右する、
といった事が読み取れますね。
例えば、犯罪を繰り返す子供に対しては、
親は養育拒否状態となっていたりしています。
そんな少年達をなんとか更正させようとする
調査官の著者も苦労する様子が窺えます。
少年犯罪は集団で引き起こされる事が多いのですが、
その集団の中でも、更正するものもいれば
再犯に走るものもいる‥その追跡の様子は
なかなか興味深かったです。
- 家裁調査官、なかなか報われない職業ですね‥
著者は少年達に対して思いやりをもって接し、
少年達も著者への反発する様子などの記述は
あまり見られません。しかしこうして
調査官の著者が少年達への配慮もあって
甘めの処分を決定しても、
それが結果的に裏切られてしまうケースが多く、
なかなか報われない職業だよな‥という感じが
強くしてしまいました。
少年たちの再犯率は、一般の再犯率より
きっと高そうな気もしてしまいますし‥(^^;)
本人の問題に加えて、親(家庭)の問題もあるため、
少年司法のあり方は難しいな、という気がしますね。
ただ、これだけ少年達による凶悪犯罪が増えている現状では、
厳罰化による抑制への流れは、
致し方ないのかな、という感じがしてしまいます‥