「星々の舟」(はてな年間100冊読書クラブ 19/100)

星々の舟 Voyage Through Stars

星々の舟 Voyage Through Stars

  • 心にずしりと来る、重い内容の小説‥

「星々の舟」というロマンチックなタイトル、
そして「天使の卵」「おいしいコーヒーのいれ方」など
の著作がある村山由佳さんの作品ということで
恋愛小説かな〜と期待していたのですが(^^;)
その期待が大きく裏切られたって感じの、
重いストーリーの小説って感じでしたね。
ただ、心にずしりと来る重さって感じで、
読み応えは悪くはなかったです。
タイトルの「舟」は家族を指し、
父母と子供4人(男2人・女2人)家族の
それぞれの人間模様を描いています。
家族という舟に乗って進みゆく、
人生航路って感じでしょうか。
しかしその内容は前述の通り、
かなり重い内容になっていますね。
例えば子供のうち2人が禁断の兄妹愛に陥ち
残り2人は不倫に走る、という感じで、
いずれも幸せの結婚生活からは
遠ざかってしまっていますね。

  • 頑固な父親が元凶なのですが‥

父親は昔気質の頑固さを見せていて、
妻に対する振る舞いとか、この本を読み進めていくと
ちょっとどうなのかな、と思わせるところがあります。
子供達が幸せをつかめないのは、
この頑固爺の父親の責任ではないのかと思ったりして。
しかし、この本の最後が父親の章になっていて、
父親の戦争体験や従軍慰安婦
これまた重い話になっています。
著者の村山由佳さんは戦後生まれですから、
この戦争体験談をどう取材して書いたのか、
真実を基にしたのか否か、そういうことは解らないです。
兄妹愛・不倫・レイプなど、子供達も様々な経験を
して来ていますが、最後の父親の戦争体験談が
やっぱ一番ズシリと来るものがありましたね。
戦争で死地をさまよい、命からがら帰還したからこそ
あんな頑固な性格になってしまったのかな‥と。
もっとも子供達は父親の経験談を知らないため、
結局父親と子供達の心が最後までずっとすれ違った
ままだったのかな‥という感がありました。