「巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは」(はてな年間100冊読書クラブ 14/100)
巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (角川oneテーマ21)
- 作者: 野村克也
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/02/10
- メディア: 新書
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- 「V9」時代の巨人軍が理想の球団
現・楽天イーグルスの監督・野村克也氏の手による本ですね。
タイトルは「巨人軍論」となっていますけど、
現在の低迷した(笑)巨人軍を揶揄するような
通り一遍の内容ではなかったですね。
野村氏が現役時代にライバルとして立ち塞がった
V9時代の「常勝」巨人軍を取り上げており、
その時代の巨人軍は選手の能力はもちろん
先取性などにおいても卓越していたとしています。
本の中に書かれていた例では、
パ・リーグの南海ホークスに在籍していた野村氏と
セ・リーグの巨人軍が対戦する機会は、
交流試合の無い当時では日本シリーズくらいしか
ありませんでした。不人気のパ・リーグで
脚光を浴びる事が少ない南海、そして野村氏は
シリーズに出られるだけで舞い上がっていました。
常にマスコミに取り上げられていた
「常勝」巨人軍の選手達には
そんなうわついた姿勢は見られなかった、
といった記述からすると
「悔しいけど巨人には適わない」現役時代の野村氏は、
そんな心境だったのかもしれないですね。
- 川上哲治監督への敬慕も
野村氏は「V9巨人軍」、そしてその時代の
川上哲治監督を理想としていますね。
野村氏が現役時代の南海の鶴岡一人監督や
野村氏が自ら引き合いに出す(笑)長嶋茂雄監督、
あるいは悲運の名将・西本幸雄監督などを例に取り上げて
川上監督を絶賛しています。
野村氏自身も、川上監督にお褒めの言葉を貰って
嬉しかった、といったエピソードもありますね。
当時の巨人軍は、大リーグ・ドジャーズの手法を
取り入れるなど、パイオニアでもあり
(例えば投手のローテーション制など)
「チーム全体の」が「俺達こそが
日本のプロ野球をリードするんだ」
という士気があったと野村氏は書いています。
- 「巨人軍」だけではなく「日本プロ野球」にも踏み込んで
このあたりは、野村氏による「理想の球団論」
「日本プロ野球論」とも言えますよね。
それを具現化していたのが、
V9時代の巨人軍、ということでしょうか。
野村監督が実践している「ID野球」も
目指すは川上監督の野球なんでしょうね。
もっとも、現在の巨人軍は
過去の巨人軍とはもはや別物(笑)という感じで、
バッサリ切り捨てていますけど(笑)
巨人軍についての内容だけではなく、
プロ野球において「勝つためにはどうあるべきか」
というところが理解できて、面白かったです。