「古城の風景3 一向一揆の城」(はてな年間100冊読書クラブ 11/100)

古城の風景3 一向一揆の城

古城の風景3 一向一揆の城

東三河の古城を丹念に巡っていくこのシリーズも
第3作目になりますね。
作者・宮城谷昌光先生の郷土に対する思い入れが
伝わってくる感もあるこのシリーズですけど、
個人的にはマニアックな感は相変わらず否めないですな(^^;)
今回取り上げられているのは11か城ですけど、
この中で一般に馴染みがあるのは、
徳川家康三河時代の居城・岡崎城くらいでしょうか。
他の城々については、相当な歴史好きでも
知らないのではないでしょうか。
高校野球で言えば、「三河代表」が松平(徳川)氏で、
このシリーズ三作でここまで取り上げられている城は
その三河の地区予選で出てくるような球場って感じかな(笑)

  • 家康が三河統一を進めるにあたっての、一向宗徒との戦いを‥

桶狭間の合戦によって今川義元織田信長に討たれて
徳川家康が隣国今川氏の支配を脱して以降、
三河一国を平定するまでには
一向一揆との激烈な戦いがあったことは有名だと思います。
後に登用された家臣・本多正信も一時は一揆側に組して
家康に刃向かった位ですからね。
本書では三河の城・城跡を巡ることによって
嘗ての松平(徳川)軍と一向一揆軍、そして様々な事情で
一向一揆に組した諸将との戦いの模様に
頭をめぐらせています。

そうですね、このシリーズは
なんとなく司馬遼太郎先生の名シリーズ
街道をゆく」に似ている感がありますね。
司馬先生は日本全国から海外にまで
足をひろげていましたけど、
宮城谷先生の本シリーズは、東三河の狭い地域を
深く深く掘り下げているなぁ、という感を受けます。
ここまで来ると、作家というよりは郷土史家の作品という
趣を受けますな。最もさすがは作家さんだけあって
文章は非常に読みやすいですね。
難解(&あまり知られていない)なことを
難解に書かれると読む気がしなくなるのですが(笑)
相当の歴史好きでも初めて知るような、
高校野球の地方予選のような事柄でも(^^;)
本書を読んでいても上記のような抵抗感は
ほとんど感じることは無いですね。
このような本にどんどん引き込まれるような
宮城谷先生の文体、それを私は勝手に「宮城谷節」と
呼んでいたりしています‥(笑)