「彩雲国物語(10) 緑風は刃のごとく」(はてな年間100冊読書クラブ 9/100)

  • 官吏として復帰するも、今度は解雇の危機が‥

彩雲国物語」新シリーズの第2弾ですね。
主人公の紅秀麗はようやく謹慎が解けて
官吏として復帰することは出来たものの、
今度は秀麗を含めた「落ちこぼれ」官吏達に向けて
「一ヶ月以内にどこかの部門で採用されないとクビ」という
厳しい宣告が出てしまいます。
今までのつてに出来るだけ頼りたくない秀麗は
自力で頑張ろうとするのですが‥という感じの展開ですね。
しかし根がおせっかい(笑)な秀麗は、
他の落ちこぼれ官吏達の面倒を見たりして、
自分のための活動が出来なくなってしまいます‥
まぁ最終的には採用が決まるのですが、
それは叔父の紅黎深がトップの吏部や
知り合いの黄尚書がトップの戸部ではなくて‥
というところまでが今回のストーリーでしたね。

  • 政治のドロドロとした面が噴出して‥

しかし「刃のごとく」のタイトル通り、
今回はかなり重いというか暗い展開のストーリーに
なっているという感じですね。
今までの展開とは違って、政治のドロドロとした面が
前面に押し出されており、またキャラクター的にも
今回登場した新キャラを中心に
愛着の持ち辛いキャラが多く、
今までのような「秀麗大活躍」といった甘い展開とは
ちょっと路線が違うな、という感じですね。
まぁいかにも主人公って感じの
まっすぐなキャラの秀麗には
今まではこのようなダークな面が
欠けていたところはあり、官吏として・政治家として
大成していくためにはある種の腹黒さ(笑)も
必要な要素だとは思います。

  • 少女向けライトのベルでこの展開は重いかも‥

しかしそれを少女向けのライトノベル
やらなくても良いのではないかな?
という感じがしてしまいました。
こういう暗い展開では、今まで獲得してきたファンが
こういう展開では離れてしまう危険性がありますよね。
まぁ今までさんざん展開された
「まっすぐな秀麗とその周りには美形キャラ(笑)」
という展開に飽きが来た面は確かにありますけど、
新キャラの出番が多くて、既存のキャラに
ほとんど出番が無くなってしまっているところは、
私も少し残念かなって感じです。
あと秀麗の恋の行方(笑)も
読者としては気になるところですよね‥
前巻で突然秀麗に求婚して来たキャラは
実は意図を持って秀麗に近づいて来ただけでしたし、
新シリーズも残念ながら(^^;)
色っぽい展開にはならなさそうですね‥

  • 思い入れし辛い新キャラが多くて、個人的にはちょっと残念‥

さてその新キャラですが、前巻ではじめて登場した
蘇芳ことタンタン君、今回も大活躍でしたね。
まっすぐだけど甘ちゃんなところもある秀麗の
フォロー役として、あとその天性の運の良さで(笑)
秀麗を意図せず危機から救い上げるような感じで、
今後ともいいコンビとして腐れ縁が続いていきそうな、
そんな感じはありますね。
そして別の新伽羅の陸清雅と皇樹、
こちらは秀麗とは正反対の歪んだというか、
腹黒い性格って感じで思い入れはし辛いですな。
タンタン君もどちらかというと道化役に近く、
こうやって愛着感の乏しい新キャラが増えて、
人気のあった既存キャラの登場シーンが少なくなると、
この「彩雲国物語」シリーズのファンを続けてきた
自分にとっては少々残念な展開かな、という感じですね‥
今後この歪んだキャラ(笑)の元で
働くことになる秀麗ですが、
さてどうなるのかちと心配な面もありますな。
現実だと挫折してしまいそうな環境ですけど(^^;)
そこはライトノベル(笑)、ヒロインにそんな
辛い仕打ちはさせないものと思いますけど‥