「彩雲国物語9 紅梅は夜に香る」(はてな年間100冊読書クラブ 2/100)

「影月編」が終了し、「彩雲国物語」シリーズも
新シリーズに突入、という感じですね。
主人公の紅秀麗は、前巻までで茶州のゴタゴタを片付けて
都に凱旋かと思いきや、一転ヒラの官吏として
再出発することになります。一種の謹慎みたいなものですが、
黙って部屋で謹慎しているような秀麗ではないですね(笑)
という感じで、街中に出て「自分に出来ること」を
探し始めます。そこから事件は始まって‥
という感じのストーリーですね。
新シリーズということで新キャラも登場し、
今までにいないようなキャラということもあって、
その新キャラのインパクトが大きかったですね。

  • 新キャラはポケポケお坊ちゃま(笑)

その新キャラ(蘇芳)、いきなり秀麗に求婚してくる
とぼけた貴族の坊ちゃま、という位置づけですが、
本人に取り立てて優れた才能は無いものの(笑)
秀麗の付き人の静蘭と相対しても上手くやり過ごしたりして、
世渡りには優れているって感じですね。
また、今までの秀麗は、前回の茶州の件もそうですけど、
若さに任せて理想に向けて突っ走り放題、
というところがありましたが、この新キャラは、
そんな秀麗にブレーキをかけさせるというか、
一歩立ち止まって物事を見渡すように
サポートできるキャラのような位置づけもされていますね。
ただのポケポケお坊ちゃまだけではなさそうです。
そのあたりの世渡りを心得ていそうなところは
同じお坊ちゃまでも、藍龍蓮とは異なりそうですね。

  • 秀麗の路線も理想から現実に変更‥?

しかし、今まで秀麗は官吏になって以降は
理想に向かって突っ走ってきた、
というイメージがあるだけに、
タンタン君(蘇芳)のお陰で、官僚同士の駆け引きとか
そういう現実的なものを覚えてしまったら、
それはそれで秀麗らしくなくなってしまうなぁ‥
という気もしてしまいます‥(^^;)
また、今までの「彩雲国物語」シリーズでは、
上記の静蘭をはじめとして、
割と実直なタイプのキャラが多かったので、
異色というか違和感はありますな。
おトボケなところは、前巻まで秀麗と茶州で一緒に頑張った、
浪燕青に似たところのあるキャラ、という感じがします。
まぁでも個人的には、ボンボンの蘇芳よりも
燕青のほうが親しみ易さをもてますよね。
そういえば、静蘭と互角以上に渡りあえる、
という面でも燕青と蘇芳は似ているところがあるかな、と。

  • でもこういう展開だと、既存のキャラの出番は少なくなりそう‥

でも、これだけ蘇芳が大活躍している展開を考えると、
杜影月や燕青はもちろん、折角秀麗が王都に
戻って来たというのに、李絳攸や藍楸瑛といった
キャラの出番は少なくなりそうですね‥
今まで秀麗の周りにいて、活躍してきたキャラに
愛着があっただけに、新シリーズに突入したとはいえ
少し残念な感じがしました。
王・劉輝としては、安全面も考慮して
秀麗を自分の傍に置いておきたい
ところなのでしょうけど、秀麗の意思を考えると、
そういう強攻策には出られないのが劉輝ですよね(笑)
彼もまた優しすぎるところがありますからな‥