「下流社会 新たな階層集団の出現」 (はてな年間100冊読書クラブ 116/100)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

  • データの信憑性に少々乏しく、著者の主観による部分が多いかな‥?

少し前のベストセラーにもなったこの本、
ようやく手に取って読んでみました。
大量のデータを使って、著者の定義による「下流層」の
に属するとする人達の収入や性格・食生活や居住地などを
分析・定義づけていますね。それにあてはまったりすると、
読んでいて腹が立ってくるかもしれません‥(^^;)
ただ、そのデータはサンプルの数が少なかったりして、
一見データに基づく分析かと思いきや、
実は著者の主観による記述が大きいかな、という感じですね。
ただ、団塊ジュニアに属する世代として、
読んでいて少し考えさせられるところはありました。

  • 働く意欲などに欠けるのが「下流層」

まず、著者が主張する「下流社会」というのは、
ただ単に所得が少ないだけではなく、
「生活能力や働く意欲、学ぶ意欲に欠け
「だらだら歩き、だらだら生きている」ような階層集団」
下流層だとしていますね。まぁいわゆるフリーターや
ニート層を指しているって感じですね。
まぁ確かに意欲に欠けると、前進をすることがないので、
出世とかも出来ずに、結果的にお金を稼げなくなる、
といった感じでしょうか。ただ、そんな彼らの特徴として
「自分らしさを口にしたがる傾向」がある、
と結論づけていたりしますけど、
これはどうなのかな、という感じですね。
確かに、「自分らしく生きている」アニメーターとかが
薄給で悩んでいたり、また芸術家や俳優の卵的な存在だと
苦しい生活を強いられているとは思いますけど、
それをもって「下流」と位置づけてしまうのは
いかがなものかと思います。

  • 親によって子供の属する階層も決まってしまう‥

ただ、階層化により、上流層は同じ上流層と
出会う機会が多くて結婚することにより、
親によって子供の属する階層が決まってしまう、
というのは怖い現実って感じですよね。
確かに「子供は親を選べない」ですけど。
例えば、DQNDQN同士で出会って結婚して、
子供もDQNになってしまう(笑)という連鎖でしょうか。
確かにDQNと上流階級のお嬢様とか、
そういうカップルはあまり見かけないし、
そもそも出会いの場もないですからね。。。
ただ、小泉純一郎内閣が推進した「格差・競争社会」の風潮が
進んだことによって、いわゆる「負け組」になった人々が
が意欲を無くしてしまい、この本で書かれているような
下流層」が出現してしまった、という事実は
抑えておくべきだと思います。
まぁ、下流層と富裕層の二極化が進んでいるため、
企業にとってはこの両方を見据えた商品企画を
進めるべきというところは、マーケティングの観点からは
納得出来るところではありますね。