「日本共産党」 (はてな年間100冊読書クラブ 102/100)
- 作者: 筆坂秀世
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/15
- メディア: 新書
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- 「たしかな野党」共産党の内情は‥
与党の自民党と野党を代表する民主党、
両党の間の政策や主義主張に差が少なくなってきている中で、
日本共産党は「たしかな野党」を標榜して、
昔からある意味一本筋を通してきていますよね。
(その分、妥協する姿勢が無いともいえますが)
その日本共産党で元幹部の職にあった筆坂秀世氏の手による、
共産党の内部の暴露本、といった感じの内容ですね。
派閥間の抗争などがマスコミでも取り上げられる
自民党とは違い、共産党の内部は、秘密のベールに覆われている、
といった感じがあります。そんな共産党の活動内容を
知る事が出来て、なかなか面白かったですね。
(まぁ私自身は共産党の支持者ではありませんが‥笑)
共産党は「政治献金や政党助成金を受け取らない」
という方針を貫いており、それはそれで立派な姿勢だとは思いますが、
その代わり活動資金として、機関紙「赤旗」の部数拡大に
党員は必死にならざるを得ないという感じだそうですね。
とはいえ、積極的に拡販活動をすれば、
「あの人は共産党員である」と周りに知られてしまうため、
党員としてはなかなか積極的にはなり辛いようです。
そして、「赤旗」の発行部数が伸びないために、
党員に対する給与の支払の遅延、などもあるようですね。
- 社会主義は独裁体制に走る‥?
また、指導部の中央集権・独裁体制も強力であり、
不破哲三氏も前議長の宮本顕治氏に
引導を渡すのに苦労したりとか、
あるいはその不破氏が逆に志位和夫氏(現委員長)を
いびっている(笑)様子なども描かれていますね。
最高指導者の権力が強力な点は、
社会主義体制の北朝鮮や中国の国家体制に
通じるところがありますな。
本来であれば、社会主義は身分の差はなく全員平等、
といった考え方の筈なのですが‥
そして、党指導部の選出も、党員による
純粋な投票ではなく、出来レースのようです。
こういう体制では、共産党内(党員)からの支持すら
覚束ないと思います。ましてや一般の国民からの支持なんて‥
という感じですね。
- 閉塞的な組織活動に陥っている、共産党
そして「革新政党」の筈の日本共産党が、
上記のように強力な中央集権的な組織であること、
また、共産党はここ最近の各種選挙では、
退潮傾向が鮮明なのですが、その選挙の総括では、
上向きになった項目を無理矢理にを探し出して、
指導部が自ら空虚とも思われる、
「自己満足」的な結論を出して総括を行うなど、
(例えば、得票率が下がって議席が減った時でも、
「(得票率は下がったものの、高投票率により総得票数は上がった
=主張は受入れられた」と総括する。)
共産党が閉塞的な組織活動に
陥ってしまっていることは事実のようですね。
- 今のままでは衰退は避けられなさそう‥
その中で、面白いエピソードとしては、指導部は
外国の来賓が出席するパーティに招待され、出席したりしますが
不破委員長自身は言葉が通じないため、
来賓と会話もままならない状況です。
その状態を「沈黙の外交によって成果を挙げた」
と党員たちに報告しているところとかは、苦笑モノですね(^^;)
末端の党員達も「赤旗」の拡販等で疲弊してしまい、
脱党者が相次ぐ状況にあって、
「今のままでは共産党の衰退は避けられないだろうな」
そんな感じがしてしまいました。党勢の回復には、
中央独裁体制の刷新や、マニフェストの見直しなど、
抜本的な改革が必要のようですね。