「日本はどう報じられているか」 (はてな年間100冊読書クラブ 98/100)

日本はどう報じられているか (新潮新書)

日本はどう報じられているか (新潮新書)

  • 各国のメディアの日本についての報道を解説

欧米や中韓など、世界各地のメディアの
日本についての報道を解説した本です。
日本人の特徴かと思われる「世間の評判を気にしすぎる」
という面もあるかとは思いますが、我々日本人も、
外国について知るためには、日本のマスメディアによる
報道がその中心手段となるだけに、外国人にとっても、
日本について知るには、各国のメディアによって
報道された内容がメインになりますよね。
まぁ中韓反日報道と、それに基づく反日世論の高まりは
最近の世相で既に耳に新しいところですが、
欧米諸国の報道については、今まであまり知る機会は
無かっただけに、なかなか興味深かったです。

もっとも、知る機会は無かったのも道理、
バブル崩壊による国際的な影響力の低下で、
日本に関する記事の量は、
近年大きく減ってしまったそうですね‥(^^;)
日本について取り上げる記事は、
政治に関する記事はあまり無くて、
経済に関するものが多いようですね。
やっぱ日本の国際社会による影響力は、
経済力あってのものだった、ということを改めて
実感してしまいました。まぁ日本人の目から見ても、
それは当然ではあるのですが。

  • アメリカでは日本脅威は今は昔‥

そういえば、アメリカでは以前は盛んであった
「日本脅威論」が最近影を潜めているのは、
日本のバブル崩壊による国際的な地位の低下によって、
日本がライバル扱いされなくなって
しまったことが原因のようですね。そのお陰で、
イチロー選手や松井秀喜選手の大リーグにおける活躍も、
「世界各国からトップクラスの選手がやってくる
大リーグ」という自画自賛とあわせて、
好意的に報道されているそうです。
貿易摩擦全盛時であれば、「車だけでなく、
野球でもアメリカ社会を侵略」とか報道されたのでしょうか‥?(^^;)
アメリカによる理不尽な日本叩きは腹が立ちますけど、
こうやって哀れみの目で見られてしまうのも、
それもなんだか淋しい気もしてしまいますね‥

日米同盟の元で(というか日本が隷属していて、
盲目的にアメリカと同一歩調を取っているため)、
アメリカと日本は対立することは現在少ないですが、
アメリカにとって、捕鯨と戦争責任に関しては、
日本側の主張を認めないことは一貫しているようです。
このあたりは、今は同盟を築いているとはいえ、
太平洋戦争では敵対していたんだな、
ということを実感しますね。
従って、小泉純一郎首相が靖国神社を参拝して、
中国や韓国との関係が悪化する点については、
アメリカは日本に対して、厳しい目を向けているそうです。

  • 結びつきの薄い欧州諸国では、報道も少なめに‥

欧州各国では、距離的に遠く経済的に結びつきが
薄いこともあって、日本の報道は多くないそうですね。
「文化の国」フランスでは、日本製のアニメが
人気があるとか、そのような程度だそうです。
一方で、イギリスは、太平洋戦争中に日本軍が
東南アジアに進出して、英国人を捕虜として
強制労働に酷使したことについて、
今でも戦争責任を厳しく追求しているようです。
なるほど日本人の私でも、「イギリスがそんなに厳しい
考え方をしているんだ」という認識は無かったですね。
受けた恨みは忘れない、といった感じでしょうか。

また、アラブ諸国では、日本の「ヒロシマナガサキ」が
取り上げられているそうですね。あのビン・ラディン
演説の中で「ヒロシマナガサキ」に言及したそうです。
これは、アラブ諸国は対イスラエルという関係上、
反米の諸国が多く、「アメリカはこんなに酷いことをする国だ」
という主張の中で紹介されているようですね。
そんな日本が、アメリカとともにイラクに駐留した、
この事がアラブ諸国にどう受け止められているのか、
少し心配な面もしてしまいます‥