「友だちいないと不安だ症候群につける薬」(はてな年間100冊読書クラブ 91/100)

友だちいないと不安だ症候群につける薬

友だちいないと不安だ症候群につける薬

  • 一人っ子が増えてきている中で「友だち力」をつけるにはどうすれば‥

これまで日本語に関する本が好評を博している、
斎藤孝先生による、「友だち力」をつけるには
どうしたらよいのか、解説している本ですね。
最近は一人っ子の増加・兄弟の減少などによって、
子供達の交流関係が「広く浅く」なってきている、
ということが、よく言われています。
この本では、主に中学生を対象にした、
斎藤先生の「友だち力」に関する
授業の様子などが取り上げられていますね。

  • 鹿川君の同級生の告白‥

興味深かったのは、いじめで自殺してしまった鹿川裕史君の
同級生の独白ですね。その同級生は
「積極的にいじめに関わった訳ではないが、いわゆる傍観者」
的な立場であったものの、例えば出身中学を問われたりする時に、
この鹿川君いじめ事件の話が必ず出たりするため、
長いこと苦しんでいたようですね。その言葉は実に生々しく、
まさに当事者ならではの感想って感じがしました。
同級生は、「一時期鹿川君と親しかったものの、
やがて離れていってしまった」という過去があり、
「自分があの時離れなければ、鹿川君も死を選ばなかった」
という後悔の思いもあったようです。
やっぱ、事実の衝撃は大きいですな‥

あと、「友だち力」をつけるための「偏愛マップ」も
面白い手段かと思いました。それぞれの中学生が、
自分の大好きなものを紙に書き出して、
書き出した「偏愛マップ」を元に、
(お互いあまり)知らない者同士が話し始める‥
という感じの授業ですね。
中学生は子供と大人の狭間の時期であり、
同時に友だちとの距離感も変化するため、
この時期に「友だち力」をつける必要がある、
という感じですね。そういえば私は、中学生の頃に
当時の親友と大喧嘩してしまい、
結果最後まで仲が元に戻らなかった苦い経験があります‥
私も結局「友だち力」をつけることに
失敗してしまったんでしょうね‥

  • 好きな事を共有出来ることが、友達への近道

まぁ、「趣味をきっかけに会話を始めてみる」ということは、
知らない人と会話するための常套手段ではありますよね。
そのことを、こうやって教えられないと実践出来ない、
という点は、やっぱ今の中学生が
「自分の好きなことしか関心が無い」ということを
如実に示しているのかな、という感じもしました。
ただ、趣味など、好きな事を共有出来るというのは、
友達になる一番の近道って感じですよね。
また、好きな事が違っても、質問をすることによって
話の突破口を作ることは出来ますから。
この「偏愛マップ」は、そのための大きな手段になりそうです。