「あなたの値段―当世給料事情」 (はてな年間100冊読書クラブ 88/100)

あなたの値段―当世給料事情

あなたの値段―当世給料事情

  • 同じような業務でも給料は半分、これではモチベーションは上がらない‥

毎日新聞に連載されていた、大手銀行、国会議員、
弁護士や自衛隊など、色々な業種の給料を取り上げた本ですね。
この本を読んで感じたのは、同じような業務・職業でも、
所属する会社や職種によって、給料に大きな差が出てしまうことですね。
例えば、飛行機の客室業務員(キャビンアテンダント)は、
正社員と契約社員では、仕事内容は変わらないのに、
給与水準が倍近くも違っているようですね。
正社員と派遣社員もそうですけど、
仕事内容がほぼ同じなのに、貰う給料は全然違う、
となれば低いほうはやっぱ面白く無いでしょうし、
モチベーションにも大きな影響が出てくることと思います。
景気が落ち込んだため、業績回復を図って
各社とも正社員の採用抑制と派遣・契約社員への切り替えを
進めて来ていますが、やっぱ「同じような仕事なのに(責任も同じなのに)
給料だけ違う」というのは、やっぱ納得の出来ないところですよね。

  • マスコミでも在京キー局と地方局では大きな違いが‥

あと、花形職業であるマスコミにおいても、
在京キー局と地方局では給料に大きな差があるそうです。
在京キー局のアナウンサーは全国ネットで放送されて
知名度も上がり、また高給を取りますが、地方局のアナウンサーの給料は
在京キー局の半分程度で、また色々な雑用もこなさなければ
ならないそうですね‥(^^;)
「在京キー局の経費の使い方に驚いた」とか、
「アナウンサー同士でも、お金の使い方の話しをするのはタブー」とか
生々しい証言も収録されていたりします‥(笑)

  • 金融機関では「勝ち組」と「負け組」に二分化‥

そして、銀行や生保などの金融関係では、
「勝ち組と負け組」の間の格差が、クッキリ分かれているようですね。
国有化された「りそな銀行」や経営不振の銀行では給料が激減し、
健全な銀行の社員との給料格差は、著しく開いているそうですね。
経営不振の銀行の役員クラスは、心労は多い上に
給料は安く抑えられ、報われない職業って感じですな‥(^^;)
優勝劣敗とはいえ、ちと気の毒な感もあります。
同じ職種でも、結果的にこれだけ格差が出てしまう、
ということを考えると、やっぱ寄らば大樹の陰というか、
就職活動の際には、希望業種の業界トップの企業を目指すのが
すべからく吉、ということでしょうね。
まぁそういう企業は当然人気も高い訳ですけど‥

  • やっぱ恵まれている公務員・地方公務員

あとはよく言われているように、「公務員の給料の高さ」は
民間企業に勤める身にしては、やっぱ気になるところではあります。
イラクに派兵される自衛隊や、あるいは命を懸けて我々の生活を守る
警察官や消防士の給料が高いのは、まぁ当然かとは思います。
しかし、学校の給食調理員や、バスの運転手なども、
民間に比べれば遥かに高い給料を貰っているようです。
自衛隊や警察は、その性格上民間委託は無理なのでしょうけど、
給食調理員なんて民間でも十分でも対応出来ると思いますから、
このあたりはやっぱ、「民に出来ることは民に」の通り、
移管を進めるべきでは無いでしょうか。
この本の中では、「国会議員」よりも「国会職員」のほうが
給料が高い、なんて話も出てきますね。
あと、民間企業の給与は、例えば東京は高く沖縄は安い、
といった感じで、各地域の物価水準を反映したものになっていますが、
地方公務員の給与は、民間ほどは地域による格差が無いそうですね。
なるほどこれならば、地方公務員は民間企業に比べて
高給を貰えるので、地方ほど公務員信仰が根強い、
というのも理解出来るかなという感じでした。

  • ご存知の通り、アニメーターは薄給に苦労して‥

そしてアニメーターは薄給に悩んでいるそうです‥(^^;)
「仕事は面白いけど、薄給のため仕事を辞めた」
という人が増えているようで、このままだと日本が
唯一とも言える、世界に文化を発信する材料であるアニメ産業が
将来的には先細りになってしまいますね‥
もっとも最近のアニメの製作は、
既に中国や韓国などの外注に出しているケースが多いそうですけど‥
これはやっぱ憂慮すべき課題であり、
業界を挙げて環境の改善を図って欲しいと思います。
本来なら文化振興として、国にも補助金などの支援策を
要望したいところですけど、残念ながら日本は
芸術方面への支援の意識は低いようですね‥
この本の中にも、オーケストラの演奏者の話が出て来ますが、
日本のトップクラスの楽団である、N響(「NHK交響楽団」)も
国や企業の補助金では無く、「皆さまの受信料」によって
支えられているのが実情ですからねぇ‥