「彩雲国物語(外伝1) 朱にまじわれば紅」 (はてな年間100冊読書クラブ 83/100)

  • タイミングの良い外伝

彩雲国物語シリーズの6冊目は、
本編とは少し離れて外伝って感じですね。
ここ最近の2冊が、ヒロインの秀麗が茶州に赴任する過程の
出来事を扱っていて、王都組の出番が少なかったのですが、
この外伝では、李絳攸や藍楸瑛といった王都組の出番も多く、
彼らのファンにとっては嬉しい内容だったかと思います。
絳攸と楸瑛の二人が主人公?で、
幽霊退治をするストーリーでは、
絳攸が主人の紅黎深から王付きを命ぜられ、
当時の王は馬鹿者との評判であったため愕然とした、
と言ったエピソードとか、本編を読んでいると
「少し前の出来事で懐かしいな」という感じを
抱くことが多かったです。外伝を出すタイミングとしても
良かったのではないかな、と思いました。

  • 秀麗が病気になって、黎深は姪バカで‥(^^;)

あと、秀麗が病気になるエピソードは、
普段は冷徹な紅黎深が、姪バカ全開モードに入ったりして、
コミカルな仕上がりになっていますね。
しかしやっぱ王の劉輝をはじめ、
皆がお見舞いに駆けつけるところは
秀麗大人気!といった感じですな。
あと、黄尚書がお見舞いの際に、
他の男たちの不作法をよそにして、
さりげなく男を上げていますね。
まぁ黄尚書、実際にはめちゃ美形の男ですから、
美形の上に性格も良いと来れば、
女性人気の上昇は必至って感じですな‥(^^;)
あと、秀麗の母親のエピソードが語られていたのも、
本編の内容を補完する意味では、良かったなと思います。
秀麗は割と繊細な性格ですけど、
父や母はどちらも豪快というか、
大雑把なタイプだったんですね‥(^^;)
外伝では、こんな感じで肩肘張らずに読めるストーリー
というのも良いかと思います。
本編の前作にあたる「漆黒の月の宴」は
結構重たいと思える内容もありましたからね。

  • 読んでいて切ない「薔薇姫」、秀麗と劉輝は果たして‥

あとは、茶州編の主役とも言える影月と
秀麗の出会いのストーリーや、
ちょっと切ない「薔薇姫」のお話がありましたね。
綺麗だけど棘を生やして、近寄る人を寄せ付けない薔薇は、
今の主人公の秀麗(の気持ち)そのものって感じですな。
そして王の劉輝は、万能な権力を使って
秀麗を手籠めにするのではなく、秀麗の心の変化を
いじらしくもひたすら待っている‥という状況ですね。
待ち続ける劉輝の思いが、秀麗を揺り動かすときは
果たして来るのか否か‥ここまで律儀な姿勢を崩さないと
さすがに劉輝が、ちと切ないというか気の毒になってきますね‥