「テレビのからくり」 (はてな年間100冊読書クラブ 79/100)
- 作者: 小田桐誠
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/12
- メディア: 新書
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- ディレクターやプロデューサーに焦点をあて、番組制作に迫った本
「からくり」ということで、例えばテレビ局が、
広告収入の鍵となる視聴率獲得に躍起になるあまり、
視聴率調査会社・ビデオリサーチの機器を設置してある
家庭を買収したりとか、また、ローカル局の場合は
「自局制作のワイド番組では、機器の設置してある
地域のみを取り上げる」といった、
本のタイトルの「からくり」的な小細工も取り上げられています。
しかし、新番組を立ち上げる際の苦労や、
番組の人気を長持ちさせる方策など、
テレビの製作の裏側(ディレクターやプロデューサー)という面にも
紙面が割かれていますね。
この部分は、一般人では普段は知ることのない一面、
という感じで、非常に面白かったですね。
- クイズ番組の誕生までに‥
本の中の一章では、クイズ番組に焦点を当て、
「なるほど・ザ・ワールド」や「世界ふしぎ発見!」
の番組の誕生の様子が詳しく描かれています。
クイズのネタとなる、まだ知られていない情報を探すために、
スタッフが外国大使館などを回って
情報をひたすら集めるところとか、
草野仁さんには「バラエティーの司会は出来ない」
と一度は司会を断られたこと、また
勉強家の回答者・黒柳徹子さんと番組スタッフが
図書館でニアミスした事件とか(笑)、
色々なエピソードが織り込まれていますね。
実際に放送されるのは1時間弱に過ぎませんが、
その番組が出来るまでには、かなりの時間をかけているんだな、と。
なるほど多くの人が、それだけの労力をかければ、
文殊の知恵のごとく、面白い番組が出来るのも道理かな、と思います。
- スポンサーに気を配る必要の無いNHKでは、番組に対するこだわりが可能に‥
別の章では、NHKにも焦点をあてています。
スポンサーが不要のため、視聴率にこだわる必要のない
NHKでは、やっぱ番組制作にコストと時間がかけられるそうですね。
ただ、メディアミックス戦略が行き過ぎて、
「プロジェクトX事件」のように、
企業の協賛金をあてにしたりするケースもあり、
「民業圧迫ではないか」という声も出ているようです。
例えば、NHKの看板番組である「NHKスペシャル」の製作には、
海外テレビ局への番組の販売代金も
既に制作費に織り込まれているそうですね。
まぁ世界各地へのロケということもあって、
それだけ制作費がかかるのでしょうけど、
制作費が膨らみすぎて回収出来ない、
というケースも将来的には出て来そうですね。
- やり甲斐のある、マスコミの仕事‥
この他、嘗ての名番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」
(当初は「ジャンボクイズ」の予定だったそうですが、
スポンサーの全日空が当時は「ジャンボ機」を
飛ばしていなかったため、
「ウルトラクイズ」に変更になったそうです‥)
そして「トリビアの泉」などが取り上げられていますね。
また、テレビ業界の採用システム(中途採用・新人採用)の
記述もありました。この本を読んでいて、
なるほど、テレビ番組制作の面白さというものが
実感できましたね。なるほどこれなら、
マスコミ業界を目指す甲斐もあるというものです。
まぁ、様々なアイディアを出して、
ヒットさせる必要がありますから、
大変な仕事だとは思いますが、
それだけやり甲斐はある仕事だな、という感じですね。
私が学生の頃も、マスコミは就職先として大人気でしたけど‥