「マリア様がみてる―くもりガラスの向こう側」(はてな年間100冊読書クラブ 53/100)

  • 前作からほとんど進展が無く、肩透かしを食らった気分です‥

前作「未来の白地図」では、紅薔薇のつぼみ福沢祐巳ちゃんは
松平瞳子ちゃんを妹にしようとしてフラれてしまいました。
今回の新刊では、その後の展開を期待していたのですが、
本作では、残念ながら進展は無かったですね。
祐巳ちゃんと瞳子ちゃんの行方もまた、
曇った状態のままって感じでしょうか。
ようやく祐巳ちゃんの妹問題に決着がつくかと思ったのに、
思いっきり肩透かしを食らった気分です。。。
しかし「マリみて」シリーズは、ここ最近は露骨に
引き伸ばし傾向が強くなってしまっていますね。
出版社側の策略なのでしょうけど、
もう少しスピードアップを図って頂きたいものです。
前作から何ヶ月間の間があって、
それでいてストーリーはほとんど進んでいない訳ですから、
読者にとってもイライラは募ってしまうと思います‥

  • 小笠原家における2度目のお正月は‥

今回は小笠原家で過ごす2年目のお正月のお話でしたね。
瞳子ちゃんにフラれた祐巳ちゃんを励まそうと、
今年は山百合会メンバー全員が、小笠原家に集合しました。
(昨年は、支倉令さまと島津由乃ちゃんは箱根駅伝
出掛けたりしていましたよね)
このあたり、山百合会の結束は相変わらず固いって感じですな。
小笠原家の大邸宅の様子や、小笠原祥子さまの母
清子さんのぶっ飛んでいる様子とか(笑)の描写は
昨年度と同じで目新しさはありませんでした。

  • 祥子さまと柏木さんの許婚の理由が明らかに‥

ただ、今年の新年会は「男子禁制」の筈でしたけど、
ちゃっかり柏木優氏は登場していますね。
そんな中で祥子さまと柏木さんは、婚約の解消を発表し
同時に婚約の理由も明らかになったりしました。
しかし、祥子さまと祐巳ちゃんが姉妹になってから早1年が経ち、
その間に祥子さまと祐巳ちゃんとの間の絆は深まって、
祐巳ちゃんの柏木さんに対するライバル心は
以前よりは少なくなって来ていますから、
そんな状況下における許婚の理由の公表は、
タイミング的には少し遅かったかな、という感じですね。

  • 当事者の一人が登場しなければ、ストーリーも進まないですよね‥

ストーリーが進まなかった理由として、
今回は瞳子ちゃん本人が全く登場しなかった、
ということも大きいでしょうね。
当事者の一人が全く登場しなければ、
物語も全然進まないでしょうから。
理由としては、これまでの伏線からすると、
瞳子ちゃんの家庭環境にありそうですね。
瞳子ちゃんの家は、小笠原家の親類ですからね。
父親の女性関係で、祥子さまが男嫌いになったように、
松平家にも何か事情がありそうです。)

  • 次作では、必ず進展を見せて欲しいです。。。

そして、プライドの高い瞳子ちゃんのこと、
祐巳ちゃんが「自分に対する同情で、妹にしてくれるのは嫌。
自分のことを本当に好きになってくれないと。。。」
といった心境でしょうか‥?
当の祐巳ちゃんも、大好きな祥子さまからの
申し込みを、渡りに船で受けてしまうのではなく、
「藁しべ長者は嫌」と一度拒絶したことがありますからね。
ただ今作のラストで、祐巳ちゃんは、
松平家の事情を知っていそうな柏木さんの力は借りずに、
この問題に一人で立ち向かうことを決意しています。
次作こそ、ストーリーが進んでくれることを期待しています‥(^^;)

そういえば、この本のタイトル「くもりガラスの向こう側」について、
以前「さざんかの宿」の歌詞を連想するなぁ、と思いましたけど
作者の「あとがき」によると、直接には
寺尾聡の「ルビーの指輪」から来ていたみたいですね‥(^^;)
似た歌詞の曲として、「さざんかの宿」もあげられていましたけど。
(「ルビーの指輪」のイメージを取り払うための
連想として使っていたみたいですね‥笑)