「戦国名臣列伝」(はてな年間100冊読書クラブ 36/100)

戦国名臣列伝

戦国名臣列伝

  • 久しぶりの宮城谷さんの本

宮城谷昌光さんの本を読むのは久しぶりって感じですね。
最近少し刊行ペースが落ちているのかな?って気もしてしまいます。
今回の「中国名臣列伝」は、宮城谷さんお得意の春秋戦国時代から
各地を遊説した諸子百家や、各国の名将・名臣を取り上げていますね。
取り上げられている名臣は、秦の商鞅や楚の屈原など、
署名どころが中心であり、春秋時代の入門書的な感もあります。
縦横家として有名な蘇秦が取り上げられながら、
蘇秦と対にして語られることの多い張儀は取り上げられておらず
蘇秦の章で登場はしますが、独立して章立てはされていないですね。)
このあたりは宮城谷さんの好みも一部入っているのかな?
という感じがします。(張儀ではなく、蘇秦を優先させたところなど)

  • 短編集ですが、「宮城谷節」は健在、読み易いです。

この本は人物についての伝記がメインですが、
宮城谷さんが既に本で主人公として取り上げている、
楽毅呂不韋といった人物も含まれており、
宮城谷さんのこれまでの著書(「楽毅」や、呂不韋が主人公の
「奇貨置くべし」)のような、読んでいて本の世界に
引き込まれるような「宮城谷節」も健在ですね。
従って伝記といえども決して堅苦しくは無く、非常に読み易いです。
もっとも、一人あたりの人物に割かれているページは
決して多くないので、これまでの宮城谷さんの本の読者にとっては
少々物足りない気分もしてしまいますが‥
また、私にとっては、既に知っているエピソードが
ほとんどで、新鮮味に欠けた部分は否めませんでした。
ただ、改めて、春秋戦国時代は、個性的で魅力的な人物が
跋扈していた時代なんだな、と再認識しました。
この面白い時代である「春秋戦国時代」の入門書として
お勧めかな、って感じがしますね。