「寅さん 人生の伝言」(はてな年間100冊読書クラブ 6/100)

寅さん人生の伝言 (生活人新書)

寅さん人生の伝言 (生活人新書)

  • 自由気ままな旅を続ける寅さんへの憧れが、長寿シリーズに

国民的人気を誇った映画「男はつらいよ」シリーズの
主人公・寅さん(車寅次郎)にスポットをあてて、
その寅さんの人生観などを取り上げた本ですね。
私は実は「男はつらいよ」シリーズの映画は
ほとんど見た事が無いのですが(苦笑)
この本を読んでみて、「男はつらいよ」シリーズが
日本人に愛されてきた理由が解ったような気がしました。
まず、「一箇所に落ち着くことなく、
香具師として自由気ままな生き方を貫く」
ところは、家庭を持つ普通のサラリーマンにとっては
決して出来ない、憧れるところがありますよね。
まぁ、実際体験するとなると大変そうなので
あくまでも「憧れ」どまりなのでしょうけど‥(^^;)

  • マドンナとの恋愛をヤキモキしながら見送って

また、寅さんは旅先でマドンナ(=映画のヒロイン)に
恋をするものの、その恋は決してかなわない(^^;)ところも、
映画をみていて同情するところカナ、と。
実はそんな寅さんにも、何度かチャンス(笑)は
あったそうですね。しかし寅さんは捕まえきれなかったというか、
掴む勇気が無かったそうです(^^;)
また、旅館の一室で(寅さんには堅苦しいホテルは似合わない)
マドンナと二人っきりになったシーンで
観客が「寅、ヤッちまえ」(笑)という野次が飛ぶと、
別の観客から「ヤラないのが寅の良いところだ」という
別の野次が飛んで、映画館内が爆笑の渦に包まれた、
といったエピソードも紹介されていました。
寅さんは一度だけウィーンに行ったものの、
海外は全く性質には合わなかったようですね(^^;)
‥って生まれも育ちも葛飾・柴又の
チャキチャキの江戸っ子では、外国は無理でしょうな(^^;)
そんな感じで旅路も日本国内、
また主に南国が多かったようですね。
まぁ寅さんの御馴染みのあの軽装では、
雪積もる北国を旅するのはとても無理そうですが‥(笑)

  • 渥美清さんは寅さんとは違って‥

一方で、寅さん役を務めた渥美清さんは、
寅さんとは全然違う性格だったそうですね(^^;)
酒やタバコもしないストイックなタイプで、
また仲の良い友人でも決して家に上げた事が無かったとか‥
ちょっと意外な感じがしました。
そんな、実生活では人から距離を置いている
ところのある渥美さんが、人懐っこい寅さん役を
好演していたというのも面白いところですね。
逆に、正反対の役柄だからこそ、役になりきれた、
ということなのかもしれません。
この本にはそんな「寅さん」の魅力が一杯語られていますね。
読んでいて、私も「男はつらいよ」シリーズの
映画が見たくなってきてしまいました‥(^^;)