「もしも私が、そこにいるならば」(はてな年間100冊読書クラブ 91/50)

  • 話題作の著者の作品ですが、それほどのインパクトは感じず‥

著者の片山恭一さんによるレビューでは、
世界の中心で、愛をさけぶ」につながる作品、とありましたけど、
個人的にはそこまでのインパクトは感じませんでしたね‥(^^;)
短編が3作品、ということで読み応えももう一つだったカナ、
という気がしています。

  • 入院患者の心情は、結構読みがいあったかな、と。

3作品のうちでは、2番目に収録されている
「鳥は死を名づけない」が一番印象に残りました。
肝臓の病気で入院している二人の患者を巡る物語ですが、
病院に入院していると「虚構の現実を心の支えにしたくなる」
という気持ちは良く解るかなって感じですね。
病院に入院していると(そして周りに重症患者が多いと)
気持ちも塞いできてしまうと思いますし、
やっぱ何かしらの支えが無いと生きていけないですよね‥
昨日の「クラッシュ・ブレイズ」では
ファンタジー小説で現実に引き戻されるのはどうか」
と書きましたけど、今回のような普通の現代小説であれば、
リアリティを感じられた方が身近ですね。

  • 忘れられない「昔の恋人」

本のタイトルにもなっている、1番目の収録作品
「もしもわたしがそこにいるならば」は、
主人公の母が危篤状態になった時に、
母の昔の恋人の男性がお見舞いに来たことによって、
母の浮気が発覚し‥という展開ではなくて(^^;)
その後母の遺品(手紙)を巡って、母の昔の恋が明らかになる、
という感じですね。二人は好き合っていたけど、
男性の海外留学によって女性(母)の気持ちが離れてしまい、
別の男性(主人公の父)と結婚してしまった。
しかし、その後男性は手紙などを全部捨ててしまったものの、
母は大事に仕舞っておいた、という感じですね。
両方がお互いを忘れられなかった「かなわなかった恋」
がちょっとせつない感じですね。
また、この二人が恋をかなえていれば、
主人公(母の娘)は生まれていませんから、
この二人(主人公と母の昔の恋人)との関係は
ちょっと微妙な物がありますよね(苦笑)