「あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書」 (はてな年間100冊読書クラブ 88/50)

あの戦争は何だったのか: 大人のための歴史教科書 (新潮新書)

あの戦争は何だったのか: 大人のための歴史教科書 (新潮新書)

  • 「太平洋戦争」について簡潔に学べる本

学校の歴史の教科書では、最後のほうになってしまう近現代史
授業中は駆け足になってしまい、
あまり詳しく学習する機会は無いですよね。
最近では、教科書検定の度に中国や韓国が
いちゃもんをつけて来る感じもありますが、
私も「太平洋戦争」についてそれほど詳しくは知らないため、
「それでは日本人としてやはりまずいだろう」と思って、
一冊読んで見ることにしました。
この本のサブタイトルの「大人のための歴史教科書」は
ちょっと大げさすぎるような気もしますけど(^^;)
「太平洋戦争」について、詳しく知る事が出来たので
個人的には読んで良かったカナと思います。

  • あまりに手を広げすぎてしまって‥

「太平洋戦争」が大国アメリカに挑んだ
無謀な戦争というのは認識していましたけど、
改めて見直してみると凄いですねぇ。
北はアラスカ(の近く)のアッツ島から、
南ははるかソロモン諸島(ガタルカナル島)、
その他にももちろん戦争の発端である
中国国内にも軍隊を展開しており、
「よくそこまで手を広げたなぁ‥」と感心してしまいます‥(^^;)
戦争の発端の真珠湾への奇襲攻撃は成功しましたけど、
日本軍は広範囲に広がっていたため、その後は軍備を整えた
アメリカ軍に各地で撃破される展開が続いてしまいます‥

  • 沢山の兵士が、市民が亡くなって‥

戦争が長引くに従って、日本軍に増援を送る余裕は無くなり、
上記のアッツ島やその後のサイパン・沖縄・硫黄島など各地で
取り残された兵士達には玉砕命令が下り、
兵士達は最後の戦いに臨んでいきます‥う〜む悲惨ですなぁ。
こんな時代に生まれなくて良かった、と改めて思いました。
もちろん戦場に赴いた兵士達の他にも、
広島や長崎の原爆投下をはじめとして、
空襲で沢山の一般市民が亡くなっていますし、
満州に取り残された日本人はソビエト軍に拘留され、
強制労働をさせられましたし、
あるいは「中国残留孤児」の悲劇を生んでいますね。
こうした面はもっと語り継いで行くべきだと思います。
戦後60年」を経て、戦争がますます風化されていき、
憲法改正」が話題になろうとしている
この時期ですから余計にそう感じますね。
昔の「安保闘争」があれだけ大騒動になったのは
「戦争はもう嫌だ」という一般市民の思いが大きかったそうですね。
戦犯の一人・東条英機内閣の大臣だった
岸信介が当時首相だったことが
「再び戦争」への連想に繋がったというのもありますが。

  • 昔の軍隊でも好き嫌いによる「情実人事」が‥

「教科書」と銘打ちながら、匿名の人へのインタビューが
本の内容の元になったりしていて、
必ずしも信頼性は十分であるとは思えませんが(^^;)
「戦争」を知る一つのきっかけにはなり得る本ですね。
戦況等に関して有識な人間が軍のトップ(東条英機など)に進言し、
その進言がトップの気に入らないものであれば、
「情実人事」で戦争の前線に飛ばされてしまったりして、
有識な人間がいなくなってしまい、泥沼の敗戦に突入してしまった、
というのは現在の会社経営等にも同じ事が当てはまりますな‥(^^;)
しかし、戦争が進むに従って苦境に入る事が多くなって来た時に、
大本営発表」によって、陸軍のトップの東条にすら
正しい情報が入らなくなっていた、というのは凄いですね‥