「日本の国境」(はてな年間100冊読書クラブ 67/50)

日本の国境 (新潮新書)

日本の国境 (新潮新書)

  • 離島への公共投資は「国境を守る」行為の一つ

島国である我が国日本にとって、
「国境」を普段は意識する事はあまり無いのですが、
この本は日本の国境(辺境)において、日本の国境を守るために
繰り広げられている活動を取り上げられていますね。
住民も少ない離島への公共投資は、
一見無駄な税金の投入のように思えますが、
離島に住民が住めるように公共投資を積極的に行う事は、
沖ノ鳥島の例を見るまでも無く、
「領土を守る」大事な活動の一つなのですね。
最近は中国が日本の領海に侵略活動を繰り返していますが、
このような活動を牽制する意味でも、
離島を守る事が大きな役割を果たしている、
ということが良く理解出来ました。

  • 早く行動を起こさないと、「不法占拠」が既成事実に

このほか、韓国が不法に占拠している竹島問題、
そして対ロシアとの北方領土問題
これらは「不法占拠が続けば続くほど、
占拠が既成事実化してしまうため、
日本としては早く行動を起こすべきである」という感じで、
日本政府の弱腰姿勢に警告を鳴らしています。
戦後60年が経ち、今が既成事実化するか否かの
ギリギリのタイミングだそうですね。
但し、国際司法裁判所への提訴は、
両国の合意が無いと不可とのことで、
韓国は当然応じないでしょうから、
現状ではどうしようもないそうですね‥
また、北方領土問題では、既にロシア人が住んでしまっている、
国後島択捉島を含む4島返還に拘るのではなく、
「まず無人の2島を返還」
→「その後更に2島をどうするか話し合う」
といった現実的な解決策を提示していますね。
目に見えない「海上国境」を守る事が
島国の日本にとっては非常に重要である、
ということが実感出来て有意義な本だったと思います。