「国防」(はてな年間100冊読書クラブ 36/50)

国防

国防

防衛庁長官石破茂氏が書いた本です。
自衛隊イラクに派兵したのは、単なるアメリカの追随ではなく
日本の国益を考えて石油の産出を確保するためだった」
といったような、防衛庁長官時代には言えなかったような
本音の発言も織り込まれており、興味深く読む事が出来ました。

  • 日本の「防衛」体制

外国の軍隊は、「してはいけない事が明記されている」
(=それ以外の事は何でも出来る)のに対して、
日本の自衛隊の場合は「出来る事が明記されている」
(=それ以外は何も出来ない)といった感じで、
日本の自衛隊及び軍備は、もっぱら防衛に主眼が置かれています。
このあたりは私も知っていたのですが、主に北朝鮮の脅威に対応し、
「敵が発射したミサイルを打ち落とす事が出来るように」するため、
MD(ミサイル防衛)構想を進めているようですね。
役割は日本版の核兵器ってところでしょうか、
「準備を整えることによって、敵からの攻撃を思いとどまらせる」
という感じですね。

  • アメリカに守って貰うだけではなく

また石破氏は「国連は拒否権もあるから
いざというときには役に立たない」と看破し、
上記のMD構想等により「自分の国は自分で守れるように」
と訴えています。日本はアメリカと日米同盟(日米安全保障条約)を
結んでいますけど、ただアメリカに守って貰うだけではなく、
出来る事は自分で、という危機管理が重要ってことですね。
確かに今の日本人には、危機管理という面では
まだまだ甘いって感じが否めないですから。
兵器の性能等の説明がメインの軍事オタク的ではない、
実践的な「国防」論って感じの本で面白かったですね。
イラク派兵に未だに反対しているような人達に
是非読んで頂きたい本だと思いました。