「中東 迷走の百年史」

中東 迷走の百年史 (新潮新書)

中東 迷走の百年史 (新潮新書)

  • 中東の混迷は、おもに植民地時代の宗主国が原因

イスラエルパレスチナ問題など、日本ではあまり知られていない
中東地域の主に紛争について焦点をあてた本です。
ただ、現在中東地域で起こっている紛争の原因は、
主に植民地時代に、ヨーロッパ各国が住民構成などを意に介せず、
国境線を引いてしまったため、というものが多いですね。
その結果、クルド人は在住地域を各国に分断され、
イラクやトルコなどどの国からも差別され続けるという
悲劇が続いています。
もちろんアメリカがその地に在住していたパレスチナ人を追い出し、
その場所にユダヤ人のためにイスラエルを建国し、
イスラエルを巡って、ずっと紛争が続いているのは
周知の通りかと思います。

  • 貧富の差が過激派を生んで‥

サダム.フセインのような独裁者は全て悪かというとそうでもなく、
独裁者が強権を握ると、一応国は安定する、という事実もあるようです。
それがイラクフセイン支配の時代、
アフガニスタンタリバン支配の時代が安定期であったということです。
フセインタリバン、ともに政権を追われ、
その結果、例えばイラクの場合は米軍主導による暫定政権が出来ましたが、
支配力は弱く、今のイラクは実質無政府状態の混乱の渦にあります。
「危険な独裁者を追い出す」ことは良いことだと思いますが、
戦後の政権が腐敗し、貧富の差が広がると(発展途上国では、
日本とは違って出生率が高く、若者層が多いため、
その分失業率も上がっていく、ということもあるそうです)
貧困層が政権打破を目指して、アルカイーダのようなテロ組織に
身を投ずるケースが多いようです。