「政治とカネ 海部俊樹回顧録」(はてな年間100冊読書クラブ 47/100)

政治とカネ―海部俊樹回顧録 (新潮新書)

政治とカネ―海部俊樹回顧録 (新潮新書)

  • 元首相の、生々しい証言が‥

嘗ては首相まで務めた海部俊樹氏が、
その政治家としての活動を振り返った本ですね。
著者は、現在はもう議員バッジを外していることもあり、
怖いもの知らず、という感じで、
生々しい証言が展開されていますね。
例えば、タイトルにもなっている「政治とカネ」という点では、
ロッキード事件田中角栄氏に対抗して、
クリーンな政治を目指していた三木武夫・元総理でさえも、
総裁選の際には他の派閥にお金を配っていた、
といった内容が記されています。
三木氏はもう故人であり、読んだ瞬間としては
故人に鞭打つような内容はどうか、と思ったりもしたのですが、
改めて、自民党政権がいかに金まみれであったか、
ということを実感したりもしました‥
その他、「海部内閣」は、竹下派にかつがれて誕生し、
その竹下派に見放されて退陣を余儀なくされたことや、
「根回しが得意で、嬉々として取り組んだ竹下登さん」や、
「上から目線の冷ややかな宮澤喜一さん」など、
著者が間近で接した政治家諸氏の感想なども、記されています。
テレビの映像から窺える様子と、大きく異なっている
印象は無いかな、という感じがしました。

  • 「壊し屋」小沢一郎氏には「ほとほと疲れた」‥

あとは、著者と浅からぬ縁があった
小沢一郎氏への「ほとほと疲れた」という思いは、
まさしく著者の本音でしょうね‥(^^;)
自民党時代は著者が首相で小沢氏が幹事長、
首相退陣後、自民党を離党した小沢氏の誘いに乗って
著者も自民党を離党して新進党に移籍します。
政権を取れる可能性もあった新進党ですが、
小沢氏の、著者曰く「壊し癖」により
あえなく党は解党してしまいますね‥
新進党解党後、著者と小沢氏は自由党まで
行動を共にしますが、「またまた小沢氏の壊し癖」が出て
自民党の連立解消という段階で、
遂に著者と小沢氏は袂を分かちますね。
そういった遍歴を経ているだけに、
実感の積もった本音であったと思います‥(^^;)
全体的に、著者の「弱さも含めた正直な自分」という点は、
本書内によく表現されていたものと思いました‥(^^;)