「偽善エネルギー」(はてな年間100冊読書クラブ 46/100)

偽善エネルギー (幻冬舎新書)

偽善エネルギー (幻冬舎新書)

石油の枯渇が問題となっている中で、
現代のエネルギー事情、及び代替エネルギーの通説を
著者独自の理論により、バッサリ一刀両断している本ですね。
例えば「太陽光発電」や「風力発電」など、
エネルギー源は無限・無料ということもあって、
代替エネルギーとしては、期待してしまいますよね。
しかし著者は、例えば太陽光発電なら
「エネルギーは大きくないこと」、
「晴れていない日は発電出来ないこと」
そのため、「太陽光発電は、大量の施設が必要となり、
国土の狭い日本には向かない。」と結論づけていますね。
考えてみれば、著者の見解にも一理ありますよね。
ただ実態として、著者が主張するように、
太陽光発電なら「クリーンエネルギー」というような
利点ばかりが強調されている傾向にあると思います。
今まで気づかなかった事実を教えられた、という感がありました。
例えば、ただ単に地球温暖化(CO2排出)の観点からではなく、
水力発電ならダムの建設による自然環境破壊」とか、
そういった別の面の影響を考える視点を持たなければいけない、
という見解は、参考になりました。

  • 原子力発電(所)についての記載もありますね

あと、東北地方太平洋沖地震による、
福島第一原発の事故の発生もあったため、
原子力発電所に関する内容も、興味深かったですね。
原子力発電所は安全ではあるが、
地震に対しては安全ではない」と結論づけています。
しかし、地震によって原発事故が発生したこともあり、
著者の主張は、納得させられるものがありました。
もっとも著者は、原発建設を避ける場所として、
地震が集中する、関東から九州までの太平洋岸」をあげています。
もっとも、今回の地震が発生した東北地方は、
著者が主張する「建設を避ける場所」には
含まれていなかったりしますけど‥

  • 理系分野の本を読むと、色々な発見がありますね

本書の結論としては、「石油が枯渇することは間違いない。
しかし、現在代替エネルギーとして期待されている
太陽光や風力などは、今後とも代替エネルギーにはなりえない。
そのため、石油が無くなると困る分野については、
代替技術や代替エネルギーの開発を急ぐべきである」、
という感じでしょうか。残念ながら、現在のところは
まだ石油に替わる代替エネルギーは、見つかっていないようですね‥
私は文系人間ということもあり、
もともと理系分野の知識は乏しいです。
そんなこともあって、たまに手に取る理系分野の本を読むと
それが簡単な内容であり、また常識的な内容であっても
色々新たな発見があって、なかなか面白いですね。