「「嫌消費」世代の研究 経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち」(はてな年間100冊読書クラブ 49/100)

「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち

「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち

  • 現代の若者は、消費しない「嫌消費」世代

モノがあふれている現代、最近増えていると言われている
「モノを欲しがらない若者」について、、取りまとめた本ですね。
世代を軸にして、現代の若者(バブル後世代)と
新人類世代、団塊の世代等を比較し、
いわゆる現代の若者は、積極的な消費傾向が見られないことを
データによって証明していますね。
その理由として、本書では、
「周りにモノがあふれすぎて、欲しいものが見つからない」ことや、
バブル崩壊などによる就職難で、収入が減ってしまったこと」
少子高齢化社会が進む中で、不安定な老後に備えてお金を貯める」
現代の若者には、このような傾向あるとしています。
まぁここまでは、普通の分析かなという感じがしますが、
就職難等から、現代の若者たちは「劣等感」を持ち、
その結果「嫌消費」に走っている、という展開は
少々どうなのかな、という感じがしますね。
若者たちが劣等感を持つようになってしまった原因である、
就職難や少子高齢化といった社会現象は、
若者自身の(世代の)責任ではなく、
より年上の世代が引き起こした現象ですよね。
やっぱ「いまどきの若い者は」といった論調から
抜け出していないのではないかと思います。

また、マーケティングの視点を取り入れているため、
「消費は善であり、嫌消費は悪である」といった
論調になっているのも、どうかと思います。
確かに、マーケッターにとっては、
モノが売れなければ商売上がったりですから、
「嫌消費」を批判したくなるのも、
解らないではないですけど。
「嫌消費」は、モノを大切にすることにも繋がるので、
環境破壊とかそういった面において、
メリットが大きいはずでもありますからね‥
私も実は、クルマにこだわりは持っていないですから(笑)
比較的この「嫌消費世代」的なマインドに
近いのかもしれないですね。
だからこそ、「嫌消費」は良くない、
という感じで結びつける風潮に、
異を唱えたくなるのかもしれません。
あと、関連はあるのでしょうけど、
「世代論・世代の理論」について、
外国の学説の解説など、結構ページが割かれていますが、
ここは少々読みにくいというか、
読んでいて違和感がありましたね。
著者の専門分野なのかもしれませんが、
一般的な学説には、あえて触れなくても
良かったのではないでしょうか。