「長谷川等伯展」(京都国立博物館)

  • GW中のため、平日でも2時間待ち!

社会人にとっては心待ちのゴールデンウィークも、
遂に終わってしまいましたね。今年のGWは全体的によく晴れて、
行楽日和になったと思います。
今年は、4月は例年になく寒かったですけど、
ここに来て一転暑くなり、例年通りの陽気に戻った、という感じですね。
GWは、私もあちこちに出掛けてきました。
4月30日には、予定通り京都国立博物館で開催されている
長谷川等伯展」に出掛けてきました。
平日でしたけど、既にGWに突入しているという感じで、
京都駅前や各観光地では、観光客の姿が多かったですね。
博物館には、午前11時頃に着きましたけど、
駅前では既に、「120分待ち」の表示が出ていました…(^^;)
この表示を見て、一瞬諦めようかとも思いました。
しかし、今回はこのために京都に来たこともあり、
予定通り行くことにしました。

  • 実際には1時間半程度の待ちでしたけど…

博物館に着くと、「130分待ち」に10分増えていました。
しかし、「過大に表示しているのでは…?」という読み通り、
実際には、90分程度の待ちで済みましたね。
この季節は、暑くも無く寒くも無いため
(この日は、やや肌寒い感じでしたけど)
それも待つのには幸いしたのかな、と思います。
あと、雨が降らなかったのも良かったですね。
雨降りの中、1時間30分待つかと思うと、
ちょっとしんどい感じがしてしまいます。
水墨画などを中心とした展示となるため、
入場者は、やっぱ年配の人が多いですね…(^^;)
定年を過ぎて悠々自適の年代の方々も多く、
そのため、平日でも混雑しているのかな、と思いました。

  • 最初は「宗教画」を描いていた等伯

11時くらいに並び始めたため、入場は12時30分頃になりました。
入場制限が実施されているため、館内は
「大混雑で何も見られない」といった状況では無かったですね。
目玉作品の「松林図屏風」も、しっかり鑑賞出来ました。
長谷川等伯の、出身地である能登在住時代の作品から
円熟の水墨画(解説には「黒の魔術師」とありましたね)まで、
ほぼ年代別に、展示されていましたね。等伯は、能登在住時は、
曼荼羅図などの主に宗教画を描いていたようです。
宗教画は、カラフルな絵であり、
代表作の水墨画のシンプルな印象とは異なりますね。
もっとも、宗教画を描いていた縁で(日蓮宗の)僧侶との
繋がりが出来て、上京してからも贔屓にされたようです。
等伯自身、日蓮宗の熱心な信者でもあったそうですね。

  • 秀吉の命を受け、ゴージャスな障壁画を製作

その後上京し、日蓮宗千利休との繋がりから
豊臣秀吉の命を受け、秀吉の亡き子(鶴松)の
菩提を弔うための障壁画を製作しますね。
これが「松に秋風図屏風」・「楓図壁貼付」です。
こちらは秀吉の趣味に合わせた(笑)
ゴージャスでダイナミックな、金碧の障壁画ですね。
その大きさ&華やかさに、見ていて圧倒される思いでした。
こちらも、余計なものを削ぎ落とした
等伯の最終形ともいえる水墨画とは、また印象が異なりますね。
色々な画法の使い分けに対応出来るのが、
さすがはプロの画家、といったところでしょうか。

  • 最後に待ち受ける「松林図屏風」

目玉作品の「松林図屏風」は、最後の展示室に飾られていましたね。
今回は入場までに1時間30分待ち、
そして入場後もずっと立ちっ放しを強いられたため、
さすがに疲れを覚えてしまいました。
しかし、そんな疲れも思わず忘れるほど、
「松林図屏風」に見入ってしまいましたね。
水墨画の、黒の濃淡だけで描かれた絵は、
「秋風図屏風」のような、カラフル・ゴージャスさはありません。
しかし、単純なだけに尚更、
その濃淡の描き分けとか、見応えがありますね。
このシンプルさが、等伯の行き着いた最終境地、でしょうか。
究極まで余計なものを削ぎ落とした、という感じですね。
描かれた時代順の展示構成であっただけに、
余計に「最終境地」といった思いを、強く感じました。
後継と目していた、最愛の息子(久蔵)に先立たれたことが、
等伯を、水墨画の境地・「無常観」に至らせたのでしょうか…?
その息子を弔う、巨大な涅槃図の展示もありましたね。