「誰が日本の医療を殺すのか」(はてな年間100冊読書クラブ 75/100)

誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実 (新書y)

誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実 (新書y)

  • 医者は激務で自由になる時間も無く、高給取りでも無い‥

先日、東京で妊婦があちこちの病院を
たらいまわしにされた挙句、
亡くなってしまう事故がありましたね。
最近、医者の間では、激務を強いられる
産婦人科や小児科を嫌う動きがあるようです。
僻地を中心として、各地の病院では
これらの科が閉鎖に追い込まれている
という現状は、私も噂には聞いていました。
この本の著者は、医者であり、病院の副院長でもあります。
著者が自ら体験した、医療・医者の現状を記した本ですね。
大病院の「3時間待ちの3分治療」のような実態でも
回らないようなハードワークにより、
医者は働きづめの毎日を強いられること、
そして、(あくまでも一流企業のサラリーマンと比べれば)
医者は高給取りではないこと、等を訴えていますね。
「医者になるまでには大変で、お金もかかるけど
一旦医者になってしまえば大金持ち」かと思っていましたが、
医療・医者の現実は、厳しい状況に
置かれていることが、改めて実感出来ました。

  • そんな医者を支えているのは、「患者を救う」使命感

また、「医療ミス」で妊婦を死なせたとして
逮捕された産婦人科医に無罪判決が出た、
というニュースはまだ記憶に新しいところです。
この例のように、本当は医療ミスではなく
不可抗力による不幸な事故だったのに、
医療ミスで訴えられるリスクも最近はありますね。
激務とプレッシャーの中で、多くの医者は
「患者を救う」という使命感を頼みに、
ハードワークに耐えている、という現実がよく解りました。
加えて、財源の乏しい日本国政府は、
医療費削減を打ち出しています。
イギリスでは以前、医療の実態が崩壊したそうですが、
現在の日本の施策を見ていると、
日本にもその悪夢がやって来るかもしれない、とのことです。
今後は高齢化社会が加速度的に進み、
医療を必要とする人達も確実に増加することになります。
しかし、残念ながら医療の状況は、
年金と同じように、今後はますます厳しい状況に
なっていくものと予想されますね。
我々一般人においても、
不安定な医療体制に頼り切るのではなく、
自分の体は自分で守る必要がありますね‥