「名ばかり管理職」(はてな年間100冊読書クラブ 55/100)

名ばかり管理職 (生活人新書)

名ばかり管理職 (生活人新書)

  • 人件費を削減するため「管理職」に昇進させる

職位上は「管理職」とはいえ、
諸事はほとんどが本部からのコントロール下に
置かれるため、実質権限は無いに等しい
名ばかり管理職」を取り上げた本ですね。
「管理職」になると、管理職手当を
支払う必要があるもの、
残業代を支払う必要が無くなります。
管理職手当<残業代であれば、
管理職に昇格させることによって、
人件費のカットに繋がるため、
厳しい状況の下で、経費削減の一貫として、
管理職を増やしまくった会社があるそうですね。
中には、「入社わずか9ヶ月目で店長&管理職」に
「昇格」したケースもあるそうです。
もちろん「管理職研修」などは、
ほとんど実施されなかったそうですね。
マクドナルドの店長などが、問題になりましたね。

  • アルバイトの穴を埋めて働く必要が生じ‥

事例では、そのマクドナルドを提訴した店長や
コンビニ店長の例が取り上げられていますね。
両方とも、店長とはいえ
店舗運営の権限などはほとんど無く、
しばしば自己都合で休むアルバイト店員の穴埋めを、
店長自らせざるを得ません。
その結果として、家に帰る間もなく
働く必要が生じてしまうそうですね。
私もコンビニでアルバイトをしていた時は、
時々休みましたけど(^^;)今考えると、
その穴埋めなどで、店長に迷惑をかけていたんだな、
と少し反省しています。
イオンなどの大型スーパーとは違って、
コンビニは店舗も狭く、余裕ある人員数で
運営している訳ではないので、
アルバイトの休みは正社員(それも一人しかいない店長)
が勤めざるをえないですな‥

  • 仕事は過酷、残業代は無し‥

しかし「管理職」なので、店長には残業代は出ません。
「ただ働きを強いられる上に、その職務は過酷」
という悲惨な状況ですね。
コンビニ店長の場合は、遂には体調を崩して
意識不明で寝たきり状態になってしまったそうです。
この本で取り上げられている、
コンビニやマクドナルドの例は
経営側の確信犯的な人件費減らしであり、
摘発されてしかるべきですね。

  • 「管理職」だと納得していても、摘発されるケースも‥

一方では「名ばかり管理職」の適用に
従業員(その名ばかり管理職)が戸惑っている
ケースも取り上げられていますね。
それは中小企業メーカーの「管理職」、
自分の業務に関しては、一定の権限を持ち、
自らも「管理職」だと認識していました。
しかし、法的な「管理職の条件(経営の重要事項の決定に
参加出来る、など)」を満たさないとして
労働監督基準署から摘発されてしまったそうです。
摘発されると、イメージも悪くなります。
またハローワークで求人票を受け付けて貰えない、
といったペナルティもあります。
やむなく経営側は「管理職」指定を外したものの、
経営側・管理職側双方に戸惑いが生じた、
といったケースですね。
この例の場合は、本を読む限りでは、
それなりに権限を持っているため、
管理職認定をしても良いかと思われます。
しかし、法的条件を満たさないため、
名ばかり管理職」扱いされてしまう‥難しいところですねぇ‥