「歴史とはなにか」」(はてな年間100冊読書クラブ 13/100)

歴史とはなにか (文春新書)

歴史とはなにか (文春新書)

  • 歴史とは、自分の立場を正当化する武器である

なかなか面白い内容の本であったと思います。
中国や韓国との間で教科書問題等の
歴史認識問題がしばしば勃発しますが、
その理由として「歴史は、自分の立場を正当化する武器である」
と断言していますね。確かに言われてみれば、
中国の歴史書あたりは、その傾向が顕著な一例でしょうか。
中国では、前の王朝を滅ぼした新王朝の時代に、
前王朝の歴史書の編纂が行われるのですが、
当然自らを正当化するために、前王朝を悪く描く傾向にありますね。
「この王朝を倒した、今の王朝は正である」
という論調で歴史書も展開されています。
結果として、現在の権力者に都合の良い「歴史書」が
完成する訳ですね。日本でも「古事記」「日本書紀
あたりには、天皇家の支配を正当化するという点で
その傾向が窺えますね。(神武天皇の東征神話など)
この本では、「応神天皇以前の天皇は存在しなかった」
と言い切っています。

  • 歴史は文化によって異なる

そして「歴史は文化であり、
国それぞれによって文化が違うため、異なる歴史が出来る。
つまり、歴史を統一するなんて、不可能なことである」
と言い切っていますね‥(^^;)
なるほど確かに、「歴史とはなにか」という
この本のタイトルの答えが本の中で展開されており、
その持論は、一般的には目新しく、
また「目から鱗」的な内容であったと思います。
歴史認識や史実はどうあれ、歴史というものが
「自らの立場を正当化する武器」であり、
また「歴史は文化であり、国(集団)によって異なるものである」
という現実があれば、中国や韓国との間で教科書問題が
今後とも勃発してしまうのも、至極当然って感じですな‥(^^;)