「日本サッカーと「世界基準」」(はてな年間100冊読書クラブ 12/100)

日本サッカーと「世界基準」 (祥伝社新書 (046))

日本サッカーと「世界基準」 (祥伝社新書 (046))

  • 06年ドイツW杯の、ジーコ監督の采配をバッサリ(笑)

主に日本代表を中心に、現在の日本サッカーの
問題点を提起している本ですね。
著者のセルジオ越後さんは、普段から辛口なので(笑)
本書でも厳しい提言がなされています。
まだ記憶に新しい、06年ドイツW杯の
日本代表の試合における、ジーコ監督の采配に対しては、
バッサリ一刀両断といった感じですね‥(笑)
初戦のオーストラリア戦の、終盤の悪夢が
この本を読んでいてまざまざと思い出されました‥(^^;)
そして、グループリーグ敗退に終わるも、
日本サッカー協会(主に川淵三郎キャプテン)は
責任を取ろうとせず、後任監督(オシム氏)の話題に
話をすり替えた、といったあたりの記述は
もっともな指摘であると思います。

監督交替に話題をすり替えて、
自らの責任問題をうやむやにしてしまった
川淵キャプテンは、なかなかの策略家ですよね。
加えて、マスコミの口を封じて、
自らへの批判をさせないようにする、
その独裁ぶりも恐るべきものだなって感じです。
マスコミに対して、都合の悪い事を書くなと
言ったところで、普通は平気で書くでしょうから。
そういえば川淵キャプテンは、
Jリーグのチームから企業名を外す
という流れを作り、それを拒んだナベツネこと
渡辺恒雄氏の抗議を、最後まで突っぱねましたからね〜。
ナベツネ氏が今も昔も相変わらず
プロ野球の世界を牛耳っている、
という事を考えると、そのナベツネ氏に勝った
川淵キャプテンの凄腕ぶりが窺えますな‥

さて、話をこの本の内容に戻しますが(^^;)
セルジオ氏のブラジル時代の話は
なかなか面白かったです。
私は今まで、氏の現役時代の話は
存じなかったのですが、
ブラジルのトップチームで活躍していたようですね。
なるほどいつも辛口の提言をするだけは
あるな〜、それだけの実績もあるんだなと思いました。
ただそういえば、ブラジル人はジーコ氏を
もはや崇拝せんばかりだと聞いた事がありますけど、
この本ではセルジオ氏は、ジーコ監督のことは
一刀両断に切り捨てていますね‥(笑)

  • 全てに「ブラジル基準が正」とは言い切れないのでは‥

ただ、「ブラジルはこうだけど、日本は違う」
という切り口が全てといっても良く、
判断基準が全て自ら生まれ育った
ブラジルを基準にしているのは
いかがなものかと思います。
確かに、緩慢なプレーをしていても
批判されないといった点など、
日本はサポーターやマスコミが
選手に甘すぎる、といった氏の批判点は
私もその通りだと思います。

  • 日本には日本なりの強化基準があるべきかと‥

しかし、日本とブラジルは全然違いますから、
「ブラジル基準」が日本において
全てにあてはまるかとなると、否であると思います。
サッカー人口が多く、また歴史も古く、
サッカーが生活シーンの中に当たり前のように
溶け込んでいるブラジルと、まだそこまでの
レベルには達していない日本では、
基準や、チームの強化の仕方などは
必然的に異なってくるのではないでしょうか‥?
ただ、子供の育成技術等の面においては、
「なるほど、ブラジル基準を取り入れて
みることによって、今後の日本から
中田英寿選手のようなスター選手が
より誕生しやすくなるのではないかな」
と思ったりもしました。
ハングリーさというか、貪欲さという面では
ブラジルの環境が日本よりも優れている、
という感じがしました。