「戦争を知らない人のための靖国問題」 (はてな年間100冊読書クラブ 117/100)

戦争を知らない人のための靖国問題 (文春新書)

戦争を知らない人のための靖国問題 (文春新書)

  • 戦争をを体験した著者による「靖国神社論」

戦争を自ら体験した著者の上坂冬子さんの手による、
靖国神社論ですね。まぁ、戦中や戦後占領下の
苦難体験を持ち出されると、我々戦後生まれの人達にとっては、
なんとも反論というか、意見を挟み辛いところがありますよね。
先日誕生した「初の戦後生まれ首相」安倍晋三氏が
この本を読んだとしたら、どう思うでしょうか‥?
著者の主張は、基本的には「靖国神社を肯定して、
度重なる中国・韓国の抗議に理詰めで反論」という感じです。
ただ、これらの国が理詰めで納得するのであれば、
苦労はしないでしょうけど‥(^^;)

東條英機らの戦犯が逮捕され、処刑されましたけど
確かに「彼等戦犯の命と引き換えに」日本は独立を達成した、
というのは事実ですよね。東京裁判では、
天皇を戦犯にしようとする動きもあったようですが、
東條達はそれを跳ね返して、自ら従容として死んでいった。
確かにそう言われてみればそうだな、と思います。
その事実を考えると、先日話題になった
A級戦犯靖国神社に合祀するのは反対、
合祀したから自分は参拝しない」という昭和天皇の発言メモが
あれが事実であれば、昭和天皇はとんでもない酷い奴、
ということになりますよね。。。
東條らA級戦犯は、自らの命を救った恩人って感じですから。

そういえば、私自身も、「勝者が敗者を裁いた東京裁判の正当性」や
サンフランシスコ講和条約の意義」
については、あまり思いを巡らせたことは
今まであまり無かったですね。
日本は独立を達成して、戦犯の人々を靖国神社に合祀した、
そこに至る経緯を、私を含めて多くの日本人は
今までほとんど意識する事が無かったかな、と思います。
独立を達成した時に、日本人が「あの戦争」の総括を
改めて行うべきだったのでしょうね。
それを今まで全くして来なかったから、結果的に世論が
GHQ主導による占領政策の一つである、
敗戦国日本のそれまでの価値観の全否定と、
勝者の論理の押し付けに染められてしまっている、
ということになりますよね。。。
そして、日本人全体が戦争についての確固たる
意見を持っていないため、中国や韓国の抗議に対して、
弱気になってしまったりするんですよね‥
これらの国は、正しいか否かはともかく(笑)
主張は基本的に一貫していますから‥