「彩雲国物語(6) 欠けゆく白銀の砂時計」 (はてな年間100冊読書クラブ 104/100)

  • 内乱を片付けて、朝賀の挨拶に都に戻る秀麗

彩雲国物語シリーズの第7作目ですね。
前巻「朱にまじわれば紅」は外伝の短編集でしたから、
前々巻となる「漆黒の月の宴」の続きとなりますね。
茶州で暗躍する茶一族は一掃され、
その後茶州の州牧として、内政に力を注ぐ杜影月と紅秀麗の
2人の奮闘振りが描かれています。
そんな中で秀麗は朝賀の挨拶に都へ戻ることとなり、
久しぶりに王都組の登場もありますね。
茶一族を一掃して茶州を安定させたこと、
及び紅一族が秀麗を全面的にバックアップしている事が
明らかとなり、本人の知らないところで、
秀麗の人気が沸騰(笑)、結婚の申し込みもあったりして、
秀麗の周りも騒がしくなってきていたりしますね‥(^^;)
茶朔洵の一件が秀麗に恋という感情を意識させたのか、
いつのまにか秀麗はキレイになった、
ということになっており、これで今までとは違って
才色兼備の完全無欠状態って感じですな(笑)

  • もう一人の州牧・影月には死の影が忍び寄って‥

もっとも今や州牧(県知事のようなもの)の秀麗は
都に戻っても実家でのんびりとは出来ず、
この機会に各役所の間を走り回って
内政についての折衝の毎日って感じですな(^^;)
その一方で、茶州に残ったもう一人の州牧・影月については、
まもなく死んでしまう運命にある事が示唆されています。
同期及第同士の二人で、仲良くのんびり茶州を治める、
といった展開にはなりそうもないですな‥(^^;)

  • 秀麗の婿さん候補にも大きく変動が‥

メインのストーリーについては、上記のような感じなのですが、
この「欠けゆく白銀の砂時計」では
秀麗の婿候補に大きな変動があったという感じですね。
王・劉輝との仲は相変わらずのままなのですが
(というか、今回書かれている「秀麗は女人官僚の
一番手として実績を残す必要があるため、官吏を辞めない」
という現実を考えると、王妃と官吏は両立しないため、
劉輝は候補からやや後退といった感じでしょうか。)
そしてここに来て急浮上してきたのが、
秀麗とも親しい関係の李絳攸ですね。
紅一族を実質的に統括している紅玖狼(紅黎深の弟)が
ご執心で、この話を進めたがっていますな。

  • 李絳攸が有力候補に浮上か、その一方で静蘭はほぼ脱落‥

女性が苦手の絳攸も、「秀麗は何故か大丈夫」とあって、
玖狼から話を聞かされて、動揺した様子を見せたりしています。
これはひょっとすると、絳攸と秀麗が‥という感じもしますけど、
絳攸も劉輝の気持ちを知っていますからねぇ‥
そして秀麗の兄替わりでもあった静蘭は
ここに来てほぼ脱落、という感じですね。
あっさり消えるとはちと意外な感じもしましたけど、
逆に近くに居すぎて、秀麗に頼り過ぎる格好に
なってしまったのが、静蘭の敗因、といったところでしょうか。