「宅配便130年戦争」 (はてな年間100冊読書クラブ 97/100)

宅配便130年戦争 (新潮新書)

宅配便130年戦争 (新潮新書)

  • 宅配便の歴史、「笹かまぼこ」は宅配便によってヒット商品に

この本では、宅配便の歴史を取り扱っていますね。
題名の「130年戦争」は、
宅配便の民間業者の雄・ヤマト運輸と、
運輸省や郵政省との闘いの記述が、
この本のメインになっているところから
来ているものと思われます。
個人的に興味深かったのは、
第2章の「宅配便が変えた日本の暮らし」ですね。
仙台のお土産の定番となっている「笹かまぼこ」が
宅配便の伸張に伴って、お土産としての地位を
確立して行った、というのは初耳でした。
なるほど、産地直送も宅配便によって
可能になった、という感じでしょうか。

第4章の「官とヤマトの闘い」については、
以前、ヤマト運輸の中興の祖である小倉昌男氏の書かれた
経営学」という本を読んでいたので、
それほど目新しい部分は無かったです。
ただ、規制でがんじがらめになっている
郵便事業のような市場に進出するのは、
官と闘うために、大変なエネルギーに加えて、
長い長い時間が必要になってしまうんだな、
ということを改めて実感しました。
生半可な覚悟では立ち向かえないって感じですよね。
ヤマト運輸も、まず最初は輸送路線の免許を得るために闘い、
次に郵政省の郵便事業と小包や信書輸送で闘い、
まさに官を相手に戦い続けたという感じですな。
ただ民間企業同士のお互い真剣勝負とは違って、
官が相手となると、ハンデを背負った闘いとなるので
苦労したそうですね。