「パラサイト社会のゆくえ」 (はてな年間100冊読書クラブ 89/100)

パラサイト社会のゆくえ (ちくま新書)

パラサイト社会のゆくえ (ちくま新書)

  • 1998年以降、大きな社会変化が‥

「パラサイトシングル」という言葉の生みの親の著者による、
社会分析の本ですね。著者は「1998年」に注目し、
この年に大きな社会変化があったと位置づけています。
例えば、自殺者の増加や青少年の凶悪犯罪の増加など。
この本では、多種多様なデータを使って、
まさに事実に基づいて分析を行っていますね。
そのため、異論反論を許さないというか、
徹底したデータに基づいた分析であれば、
その内容にケチをつけられないという感じですな(^^;)

  • 時勢の変化に社会のシステムが対応しきれずに‥

就職難によるフリーターやニートの増加など、
若年層にとって希望を持てない社会になりつつあるが、
社会のシステムが、そんな変化に対応し切れていないため、
現在は日本全体が停滞してしまっている、としていますね。
まぁ暫く前から少子高齢化社会が進行しているにもかかわらず、
対策が打たれないまま放置され続けていた年金問題など、
その際たるものだとは思いますが。
「パラサイトシングル」もそういった
社会の変化の過程で生まれてきたものですよね。

  • フリーターやパラサイトシングルを生み出す社会にも問題あり

フリーターのままであれば、ボーナスが無いため
稼ぐお金も少なく、家族を養えないため結婚に踏み切れず、
いつまでも親の元でパラサイトしてしまう‥
という感じですね。正社員の削減と派遣社員の増加といった
社会の変化が、若者から就業する機会を奪い、
パラサイトシングルを生み出している。
またそれは少子化の流れと大いに関係がある、という感じですね。
フリーターやニート、パラサイトシングルの増加は
必ずしも本人のやる気の問題だけではなく、
若者から就職の機会や将来に対する希望を奪った
現代社会にも大きな原因がある、と警鐘を鳴らしていますね。
まぁ私自身が今はパラサイトシングル状態なので(^^;)
興味深く読ませて頂いたという感じです。
やっぱ、若者や子供たちが希望を持てる社会を
我々大人がしっかり作っていかないと
いけないですよね‥
しかし現実は、実の親が子供を殺したりするような
荒んだ世の中になってしまっているのですが‥