「コスチューム!」(はてな年間100冊読書クラブ 42/100)

コスチューム!

コスチューム!

コスプレイヤーを主人公にした小説、という感じですね。
コスプレイヤーの両親の間に生まれて(笑)小さい頃からその両親によって
イベントに駆り出されていたりしていたヒロインの聖香は、
大人になって、今では立派なコスプレイヤーとして活動中です。
しかし彼女は、「写真を撮られると心霊写真になってしまう」
という弱点(笑)を抱えています。聖香は薬に頼りながら、
なんとかその弱点を出さないようにして
レイヤーとしての活動していましたけど、
その心霊をたまたま写してしまったカメコが現れて、
そのカメコとの腐れ縁が始まって‥という展開のストーリーですね。

  • 謎も解決しておらず、ストーリーとしては破綻していますね‥

「コスプレを扱っている(主人公がレイヤー&カメコ)」
「ヒロインはHPを運営していて、一種のネットアイドル」など、
この本のレビューにもある「オタクとサブカルチャー
が題材なのは確かですけど、それだけという印象もありました。
小説としては、ストーリー展開とか、もう一つかな、という感じですね。
上記の「心霊写真」の謎や、それに関するヒロインの悩みは、
結局ストーリーの最後に至っても全く解決されておらず、
伏線も何もあったものではないというか、
ストーリーとしては破綻してしまっていますな。
まぁ「第3回ボイルドエッグズ新人賞受賞作」ということで、
新人さんの第一作目なので、
あまりツッコミをいれるのもどうかと思います。
しかし残念ながら、題材以外には見所は無かったと思います。

  • 「大切な友人の死」もあまり関係なし‥

また、ヒロインのコスプレ仲間で親友でもある「アイニー」が
途中で薬物中毒で亡くなってしまうのですが、
彼女の存在意義もなんだったのかな、という気がしますね。
彼女の死後、ヒロイン・聖香は、「心霊写真」の弱点を
わざと暴露してしまい、レイヤーとしての活動は
中断に追い込まれてしまうのですが、展開的には
「ヒロインが自暴自棄になっただけ」という感じですね。
それもアイニーとの関連に直接結びついているような
感じでは無かったですし‥
まぁ、「アイニーの本名を死ぬまで知らなかった」という感じで、
現代ならではのドライな人間関係という設定ではありますけど、
ここもストーリーが破綻している一例ではないでしょうか。